加賀氏と松江氏の対談 テープ起こし(4)

*誤字・脱字を修正しました。

加賀:それでは、ちょっと話脱線しますけど、共通の知り合いの人と、この前飲んだ時に聞いた話ですけど、要は飲みの場で、松江さんが「加賀は当たり屋で生計を立てている」って言ってたって。それを直井さんに言ったら、直井さんも「それ聞いたことある」って言ってて。なんでそんなことをいうんだろうな、って。俺と、その、それこそ12年前から2年前までの間ですよ。僕と連絡を一方的にたってた間に、そういうところを第三者の場で、要は明らかな風評被害というか、具体的にそういうことをしているわけじゃないですか、発言が。言動があるわけじゃないですか、あるいはまた別の共通の知人に会ったときも、「加賀くんは頭がおかしくなって」と言ってたと。だから「加賀くんに久しぶりに会ったら印象が違って、聞いてる話と違って、ちょっと驚いた」とかって言われたりとか、それは松江さんから聞いた話で、そういう風に聞いてたからって言ってて。なんか、それもただ無自覚なんですか?無自覚に言ったことなんですか?

松江:無自覚に言ってた…?あ〜、ま、そうだね。たぶん言ってたんだろうね、

加賀:冗談になると思って言ってたんですか?酒の席の冗談として言ってた?

松江:ごめんね。

藤本:当時、この舞台挨拶の事件があったときに、いろんな人に聞かれたと思うんですよ。

松江:はい、はい。

藤本:具体的な話をすると、町山さんとか?

松江:はいはい、ええ、ええ。

藤本:アドバイスをしたと。責任取れるまで談合しますとおっしゃったと。たぶん他の人にも言われたと思うんですね。で、何か説明をしたと思うんですね、そういうときに、どういう風に説明したんですかね?事件に関して。

松江:この事件に対して説明した?

藤本:たとえば、どっちが悪いとか。自分には責任があると言ったとか。で、割とさっきのお話につながってくることで、

松江:加賀くんとまず会って話をしたいっていうことは、言ってましたね。藤本さんから連絡来たときも、ボクそれは言ったと思うんで。

藤本:なんかその、たぶん、どうなってるんですか?って聞かれるじゃないですか。そういう人たちに「話をしたいと思ってるんです」って言ってた?

松江:って、しました。

加賀:なんかやっぱり話をしてて、今日明日、一朝一夕に解決する話じゃないんだろうなて今思ってきたんですけど。ま、この声明文もそうですけど、この10年間にわたって劇場公開してきたことに関して、要するに、とりあえず僕の話で言えば、名誉毀損、あと権利侵害があるということなんですね。加えて、この声明文に関しても、それは同じことが言えるわけですよ。そこは認めますか?

松江:うん、はい。

加賀:じゃ、それをどうするか、これからどうするかっていう話になってくると思いま、じゃあ。どう思われます?ごめんなさいで済まそうと思って、今日来たんですか?

松江:あの、ちょっと、ごめん、加賀くん。ごめんなさいで済まそうとか、ちょっとそういうことでボクは来てないよ。ここには。まずちょっと、君とちゃんと話がしたかった。

加賀:で、今こう、話をした上で。

松江:今すぐ何ができるとか、どうとかは、それは僕は答えられない、それは。

加賀:じゃ、具体じゃなくていいですから、どうしていきます?その、具体的なプランというのも、それは考えなくちゃいけないかもしれないですけど、気持ちとして…

松江:気持ちとして、僕は加賀くんと、なんというかな…加賀くんがどういう風にすると納得してもらえるのかっていうのを知りたい。

加賀:納得するかじゃないんですよ。じゃ、僕を納得させれば終わりだと思っていますか?

松江:そんなことじゃないよ、だって、僕はずっと抱えていくよ。

加賀:抱えていくって、それは当たり前じゃないですか。

松江:抱えていくし、考えなきゃいけないし、それはずっと、僕は、うん。そういう風にして生きていくと思う。加賀くんがさっき…

加賀:名誉毀損されているわけですよ。まず、名誉毀損されているわけです、僕は。それに対して名誉回復…

松江:じゃ、このじゃ、例えばだけど、取り下げる。

加賀:うん、当たり前ですよね。今話を聞く限り、これは間違いだったというんだったら、これは撤回して、プレスリリースをまた出してくださいよ。これを流した全媒体に、謝罪を含めて、流してください。撤回して、訂正文を。ということが普通にあると思うんですよ。それは、俺が納得するしないとかじゃない、っていうか、松江さんがいろんな人たちに責任を取るのと同じように、僕もいろんな人に責任を負ってるんですよ。それは。僕も仕事をしてますから、普通に。ってか、なぜこれを出したんですか?そもそも、なんでこんな文章を書けたんですか?なんで書いちゃったんですか?これ。

松江:なぜ書いちゃったか…、あのね、やっぱりまず、上映が中止になるというのは、やっぱ映画館にとってもすごい、通常ありえないことだよね?まずそれに対する説明をしなければいけない、ってこと。それで僕は加賀くんにもやっぱり一緒に出して欲しかったの。

加賀:わかりました、えっと、わかりました。だからその松江さんの事情はわかりました。これ、誰が関わってるんですか?どれだけの人間が関わってるんですか?松江さんと直井さんの連名で2人の名前がありますけど、それだけなんですか?

松江:あとは弁護士。

加賀:弁護士。あとは誰からも話を聞いてない、と。じゃ・・・

松江:そういう風に僕たちから聞いた人はいるよ。例えばだけど、松尾さんもそうだし、これを読んでどういう風に思うかっていう意見は聞いてる。

加賀:だれかからの、その、何か、ああしろこうしろという指示は受けてない、と?

松江:こうしろ、ああしろという指示はない。アドバイスは受けてる。こういう書き方の方がいいんじゃないの?とか、そういうのは聞いた。

加賀:誰なの?

松江:それは主に弁護士。だから今も、加賀くんが「なんで出したんだ?」みたいな言い方をしたけど、今だったら多分、こういう出し方はしなかったと思う。

松江:僕はやっぱ、加賀くんと話すべきだったと思う。どうしてでも。

加賀:公開を前提としてでも…

松江:ただ僕は当時は公開が前提というのは、どうしても飲めなかったから。これは僕と加賀くんの話だっていう…、そこがやっぱ、あったんだよ。で僕はやっぱり、第三者に入ってほしいっていうのが、ずっとあったから。あの当時も今も。で僕は「f/22」さんから連絡が来て、加賀くんに…あの時とってたんでしたっけ?

満若:まず一番はじめにコンタクトを取った時?

松江:ええ。

満若:あれはもう加賀さんにインタビューは終わって、

松江:終わったあとだったんですね。

満若:で、記事出すので、その応答として取材させてくれっていうオファーを出したんです。

松江:でもその間に加賀くんと、例えば第三者誰かいないかって言ったりとか、その第三者として立つという人はいなかったの。

川上:なんでいなかったんですか?

松江:わかんないですよ。ま、松山さんが立つみたいなことを言ってくれたことはありましたけど、それ以外、本当に…

川上:わかんないですけど、むらけんさんとか、森達也さんとか

松江:ない、ない。

川上:安岡さんとか、みんな事件のことは知ってるわけですよね?

松江:でもそれは、第三者誰かが、荷担してるんじゃないか、こっち側の人間なんじゃないかってのがあったと思います。全くこれを知らない人が立たないといけないというのが、なんか、2年前とかはありましたね。だから僕は「f/22」さんから連絡来た時に、あ、やっとそういう人来たとは思ったんですよ。ただ、話を聞くと、加賀くんに先に話を聞いてたっていうことと、あと、掲載が次号っていうことだったので、それよりはまず先に加賀くんに会いたいって言ったんですよ。

藤本:僕のインタビューを断ったのは、加賀さん側だと思ったからですか?

松江:違います。映画を見ていないからです。

藤本:映画を見ていないとなぜダメなんですか?

松江:あの、それは。僕やっぱりこの問題は、この映画を見た上で、この映ってるものから判断してほしいっていうのがありました。それはなぜかっていうと、僕はやっぱり映画に一番、そのなんですか、加賀くんに対する気持ちも込めているし…。

加賀:それが間違ってると思うんです。

松江:そうだね。

加賀:あなたはこの件に関して、作家じゃないんです、犯罪者なんです。それを自覚したほうがいいですよ。作品見てるか見てないかなんて、関係ないですよ。

松江:でも、僕は作品を見るというのは大事だと思う。それだと・・・

加賀:この期に及んでなんか、作家的なことを…ポーズをとるのが、マジでだせーっと思いますよ、おれ。はっきり言って。

松江:いや、今は・・・

加賀:こういう風になりたくないから、12年前に散々言葉つくして話したんですよ。もっと素直になったほうがいいですよ。まじで。

松江:いや、素直に話してんだよ。

加賀:いや、まだできてないんですよ、できてないって自覚したほうがいい。なぜなら、あなたは2年前の段階で見えてなかったんでしょ?で、今、こうやって話して見えてきたっておっしゃるけど、そのくらいあなたは視野が狭い、想像力が足りないんだよ、それを自覚したほうがいいよ。だから今も想像力が足りてないんだろうなっていうのを、自覚したほうがいい、本当に。

松江:はい。

加賀:たぶん、明日の段階でもたぶんまだあなたは想像力足りてないと思う。この件に関して。だから今も僕は言葉をつくして言ってるんですよ。その中にはあなたに死んでほしくないっていうのも、ありますよ。あの、ネガティブな感情だけじゃないですよ、俺が言ってるのは。

松江:加賀くんね、今、ちょっとごめん、俺さっき藤本さんに言いかけてたことあるんだけど、藤本さんの取材を受けられなかった理由は、藤本さんは2年間映画学校で僕に「死んででほしい奴」って書いてたじゃないですか。それでしかも映画も見てないで、取材をしたいって言われて。で、僕は藤本さんに、いや、スポッテッドに連絡してくれれば、見れるようにはしますと、僕は言いました。

藤本:見れるようにしますとは…?

松江:見れるようにしますというか、スポッテッドに連絡してくださいって言いました。

藤本:いや、それも言ってなかったです。「スポッテッドに連絡すれば見れるんじゃないかな?」みたいなことはおっしゃってましたけど。

松江:僕はその後、スポッテッドに「藤本さんという方から連絡が来たら、見れるようにしてください」と言いました。DVDの貸し出しではなく、スポッテッドで見れるようにしてください、と。それは言いました。だから僕は、藤本さんが…

藤本:あとで見たら・・・ってこと?

松江:その可能性はありました。でも僕は藤本さんに言ったのも、まず僕は加賀くんに会いたいです、ってのは言いました。だからま、今、、、

藤本:じゃ、あとでもう一回オファーしていたら受けていた可能性はあると。。。

松江:そのあと連絡がなかったので、「映画を見ました」とか、スポッテッドからも連絡はなかったので。そしたらあの記事が出たので…

藤本:それは、そうですね。

松江:記事が出るというのは、聞いてました。だけどだいぶ時間が空いていたので、その間に、見たのか、どうしたのかってのはちょっと分からなかった。

藤本:ぼくたちちょっと、病気をしてて・・・

加賀:じゃ、ご自分たちの判断で作品を見せていいという判断だったんですね。

松江:作品を見せていいというか、加賀くんを取材するにあたって、作品を見ないで僕が材を受けるっていうのは…

藤本:それがやっぱりよくわからないな。単純に作品の話はありますけど、性加害の話なので、そこの話しかぼくは聞いてないです。実際、その事実関係を確認しましょうっていう話を、それは電話の時もしたと思うんです。それも明らかにしてない…

加賀:いや、たぶん、これ、見てない人の意見もけっこう重要だと思うんですよ。たぶん、その、映像で物事の本質が誤魔化されている部分って、あると思うんですよね。それは見てわかる人もいるし、それはリテラシーの問題も関わってくると思うんですけど。見てわかる人もいるし、見たことによって分からなくなってる人もいる。「大したことないじゃん」と思っちゃう人もいる。ただテキストベースで見た、概ね多くの人が「問題がある」という風に、このことの本質の方に、テキストだからこそ目を向けられた。

松江:2年前は本当にそう思ってなかった…

加賀:あの、取り切りじゃなくて、編集されて、加工された映像でもあるわけじゃないですか。だから、ある種あの、ノリみたいなもので誤解してしまう。そこに正直錯誤ってあると思うんですよね、感覚の。だから、そういう意見も大事だと思うし。

松江:だからぼくは、藤本さんは、あ、見ないでずっと判断しようとする人なんだなと思った。あの記事が…

加賀:見ないで判断っていうか。

藤本:ぼくの判断ではないですけど…

松江:全く見ないで取材をする人なんだな、と思いました…

藤本:ぼくが普段からそうだというわけじゃないですよ、この件に関してはそうですけど。

加賀:この件に関してはですよ。だからま、う〜ん、そうですね。

川上:映画を見てない人は発言してはいけないっていうのは、絶対間違っていて。今後もこの件に対して発言したい人はいるかもしれないですけど、もう見れないんだから、だからと言ってその人に発言する権利がないことはないですし。実際、政策プロセスにおいて被害者が告発を出している件について、作品を批評するわけじゃないですから。その作品が面白いか面白くないかは置いておいて、その制作プロセスにあったまずいことについて検証しましょうっていう取材姿勢だったわけですから、ちょっと取り違えてるんじゃないかな…監督として、その、スタンスは。想田さんも最近ツイッターで書いてましたけど、作品を見てないからなんとも言えなかったみたいな、その気持ちはわかるんだよって書いてて。なんか、その、映画監督とか映画業界の人って、作品も見てないのにっていうのがあたりまえとしてあるし、ただ、冷静に考えると、見てなくてもこれは問題は問題としてあったわけで、そのことが明らかになっているから、やっぱりちょっと文脈を取り違えている感じがして。

藤本:一応その点はお伝えしましたよね

川上:もちろん、なんか、作品見てから言えよ、っていうのは…

松江:だからぼくは、見てくれませんか?って言うふうにお願いしたんですよ。

川上:そういうのはわかるけど。ただ、見てなくても別にその、そのことについて取材したり発言したりするのは、別に正当性はないことではない気はします。

藤本:ただ松江さんとしては、見て欲しかったという?

松江:見て欲しかったですね。あとはやっぱり「死んでほしい奴」っていう風に書く…別にそれは否定しているわけではなくて、そういう風に向かうエネルギーが僕はちょっと知りたかったっていう…

加賀:でもちょっと、あの、そもそも映画批評に「死んでほしい奴」を書く欄があるっていうのが、映画批評の企画自体がぼくは気にいらないですけど、松江さんも「死んでほしい奴」のとこに、誰かの名前を書いてるんですよね?

松江:えっとね、ぼくは昔書いてた時はあった、でも今はもう、書かない。書けない。

藤本:で、なんでぼくはあそこに書いたかっていうと、ぼくもそんな死んでほしい奴なんて思ってないし、死んでほしい人なんていないんですよ。でもこれ、すごく問題だと思ったので、ここに書いたわけです。誰も反応しないし、松江監督も何も言わないし。

加賀:たぶん今、松江さんの言葉でそこだけ切り取ると、映画秘宝の企画自体は松江さんもたぶん理解するところだと思うんですけど、本当に死んでほしいと思ってたとは僕も思はないし、そういう企画じゃないだろうとぼくも思うんで。そこは一応なんか、言っておいたほうがいいかなと思ったんです。でも、要は、批判的な見方をしていることを危惧してたんですよね?そういう風に書かれることを危惧してた?

松江:いや、これはちょっと…、いや、さっきぼくは言葉をちょっと伏せてる部分と関係あるんだよ、それは。

満若:カメラ止めますか?

松江:いや、いいです。

満若:それを話さないと、なんかぼんやりしちゃって…?

松江:いや、それは、ぼくは…ごめんなさい。それはちょっと、

満若:であれば記録残らないようにして、ちゃんと腹を割って話したほうがいいと思うんですよね。で、もし、カメラを止めるのはいいですから。で、それは絶対に書かないって確約もしますし。肝心な部分がぼやけてしまう…

松江:そうですね。じゃ、ちょっと止めてください。じゃ、書かないし、言わないって決めてもらえますか?この件に関して。

加賀:いや、ぼくはできないです。

松江:そっか、じゃ、それは言えない。

加賀:でもぼくは言ったほうがいいと思いますよ。今、非常に印象悪くなってますよ、俺は言ったほうがいいですよ。おれは約束できないけど、それでも、ずるくないですか?言えないことを?

松江:違うんだよ、それはぼくだけの話じゃないんだよ。

加賀:でも、それを…

川上:強要はまずいんじゃ?

加賀:いや、強要はしないですよ、ただ言ったほうがおれはいいと思いますよ。

牛丸?:ただ、ご自身だけのことじゃないから、言えないことはありますっていう…

松江:そう、そういうことじゃないからっていう・・・

川上:加賀さんがそれを納得しないなら…

加賀:いや、聞いた以上、それを言えないっていうのは、なんか、ぼくはなんか納得いかないですね。だったらじゃ、言わなくて・・・

松江:わかったよ、だったらいうよ。■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■

加賀:どういうことかわかんないですよ。

松江: ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■

加賀: ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■

松江: ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■

加賀: ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■

松江: ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■

加賀:だからまぁ、その取材には応じられないと?

松江:藤本さんの死んでほしい奴って書かれたこととか、あと、取材に応じないんじゃなくて、早く加賀くんと会って話がしたいと思ってたのも、そういうのはある。

藤本:現時点ではって言ってましたけど…

松江:ただ、あの時は藤本さんに、ここまでの話はしませんでしたし、でもやっぱ、そういう時に「死んでほしい奴」っていうふうのを見るのは、やっぱ、

川上:残念ではあったという?

松江:でも、それはぼく個人のダメージなので…

牛丸:取材を受けられなかった理由として、 ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■

松江:そいうのもあった、ありました。正直。あとは、見ていないっていう、それは僕の個人的な…

加賀:いや、単純に話聞いてですけど、あの、ぼくはやっぱり、オフレコで言わないでくれっていう、のを?

松江:いや、今の「オフレコで言わないでくれ」っていう話は、ちょっと違うよ、それは。他の話を一緒にしないでほしい。

加賀:でも言わないと、他と一緒になると思うんですよね。

松江:うん、だから今、自分が話せるギリギリのところで今話した。

加賀:基本的にぼくは、「言わないでね」って約束をした上で何かを言われることに同意はできないですけど、

松江:わかった。

加賀:そこは、強要もしないっす。だったら言わなきゃいいじゃんっていう、じゃ、ほのめかさなきゃいいじゃんっていうのを、おれは思う。仄めかした以上、言ったほうがいいですよっていうのは、ぼくの意見。それはアドバイス。

松江:わかった、はい。

加賀:で、うん。だし、今話し聞いた上で、だし、しんどかったっていうことなんですよね?なんか、大変失礼かもしれないけど、なんで今それを今持ち出したのか。そもそも、人にいうようなことじゃないっていうか、たぶんこの件、言わないと思うんですけど。あの、うん。言ってほしくないのをあとからいうのはいいと思うんですよ。言ったあとで。ただ、言った以上は言わないっていうのはなしかな。それはずるいやり方かなってぼくは思うんで。

松江:でも今日ぼくはこの件、言わないでくれっていったのは今の話しだけであり、一番最初…

加賀:要は、藤本さんの取材を受けられなかった理由ですよね?

松江:うん、そこ。それ以外は、ぼくが何、これは言わないでくれとか、最初に言ったのは、家族の名前とか、そういうのを言っちゃった時に。それ以外は僕は…そんなふうなつもりで話しはしてないよ。

加賀:そうですかね?そこはでも、うかがわしいですよ。だって、そもそもこれ、嘘があるわけじゃないですか。そもそも、松尾さんから聞いた話しとも違うし、で、2年前の舞台挨拶の件もそうですけど、ここでは言えないとかっていうのはすごく卑怯な言い方…

松江:それは2年前の時の?

加賀:そう、2年前の時の。

松江:お客さんの前で、ぼくは言えなかったって、今伝えてる。

加賀:それがすごく卑怯なやり方だって、

松江:そっか。じゃ、2年前のぼく、そこは卑怯だった。そこは、本当にごめん。謝るよ。2年前僕は、だって、作品を守る…

加賀:だからその、作品を守るっていう言い訳も、それもなんかカッコつけてるなって思いますよ。

松江:だけど、今ぼくが作品を守るっていうことよりもまず、加賀くんとこういう風に話しをしたい、第三者を入れてこういう風に話しをしようと思ったのは、自分が作品を守ってることが誰かを傷つけてるんだって思ったの。

加賀:それ今まで自覚しなかったんですか!?12年前の段階で、何回も繰り返しになっちゃいますけど。 

松江:そういう自覚、薄かった。おれは。薄かったというか、なかったと言ってもいい。

加賀:でも散々、インタビューとかでも言ってるじゃないですか?人を傷つけなきゃ面白くない、とか。ブーメランだとか。言ってるわけじゃないですか?言ってるのに、無自覚だ、っていうのもなんか、

松江:でもまさにそのブーメランが来たんだな、と思った。

加賀:別に責任負わなきゃいけないっていう認識はなかったんですか?これ(声明文)を書けるのが・・・まず無責任だし、悪質だし、って普通思うと思う。

川上:ぼくは、思いましたね。ぼくはちょっと、ひどいなと思った。逃げてるな、と。

藤本:すごくシンプルにいうと、相手が加害者であって、こっちは被害者であるという大まかな文章で…

川上:**も最初にあったり、全治一週間とか、ほのめかしながら法的措置は取らないけど、みたいな、無駄ないやらしい文章じゃないですか。やっぱり、不誠実な文章だとみんな思った、第三者的に見て人は。

加賀:で、それで、作品を守りたかったっていう理由付けは、なんか腑に落ちない。

松江:腑に落ちないか。そっか・・・。

川上:加害の意識がなかってことですね、文章を書いた時もまだそこまで分かってない。自分たちがこう言うことをやってきたと言う認識が、直井さんを含めなかった。

満若:作品を守りたいっていうのと、自己保身って、ある意味イコールなんで、

加賀:うん、でもぼくはなんか、イコールじゃないと思うけどね。聞いた人が…重なる部分はあるとしてもですよ。それはもちろん、作品っていうのはその人のパーソナリティーの一部であるから。それはそうだとしてもですけど、イコールではないと思う、それは。

藤本:加賀さんが引っかかっているのは、作品を守るっていう言葉の前に自己保身ですっていう言葉が出てこないところに…。

加賀:じゃ、わかりました、本当に自己保身じゃないんですか?あるいは、自己保身だけじゃない何かがあったりはしないんですか?

松江:ぼくは、「童貞。をプロデュース」っていう映画はやっぱ、自分にとって大事なものなんだよ。大事だったんだよ。加賀くんが否定してしてでも、これを守れるのは自分しかいないって、ぼくは思ってた。童貞をプロデュースっていう映画を。それはなんかっていうと、今まで上映してきて、見てきて、この映画が本当に好きだっていう風に言ってくれる人とか。なんていいうのかな、この映画を見てまた映画を作りましたっていう人とかも会ってたんだよね。この10年間の間。そういう人たちのことを考えると、作品守るのは自分だけだ。仮にだから、これが出て、ぼくにマイナスのイメージが、これはないっていう風に言われたけれども。そうなったとしてでもぼくは童貞をプロデュースを守りたかったていう気持ちは、あった。だけど、今、なぜ今第三者の人を交えて話しているかっていうと、自分がそういう風に守っているっていうこと自体が人を傷つけてるんだっていうふうに考えたから。

加賀:いやいや、だからその…ちょっと待ってください。今、めちゃくちゃダサいっすよ、はっきり言って。その作品とか観客を人質にして、守ろうとしたんだってマジで言ってるんだったら。こんな文章そもそも書けないし、12年前のあの態度もないだろうし。制作のあのスタイルも含めてですよ。それはカッコつけすぎですよ。はっきり言って。

松江:そっか。

加賀:それで、責任取った言葉だと自分で本気で思ってるんだとしたら…

松江:だから今それを否定してるんだよ。だから謝りにきたんだ、俺は。

加賀:そこの中に、なんか、その、そういう言葉が混じってくるのが…本気で思ってます?本気で思ってます?

松江:ちょっと待って!本気で思ってたことを今話してるの。加賀くんの前で嘘をつくって無いから。2年前当時本当にそう思ってた。でも今は違うっていうことを言いに来てる。

加賀:じゃ、わかりました、俺が、俺が何?おれが当たり屋で生計たててるとか、俺が頭おかしくなって、人を傷つけるとかも、作品をまもるため?観客を信じてたから?いや、あなたカッコつけすぎなんだよ、さっきから。もっと素直になれよ。

松江:今、素直に話してるよ!

加賀:じゃ、たぶんね。なんだろうな。

松江:どうすると伝わるかな。

牛丸:あの…

松江:はい。

牛丸:ぼくはこの、加賀さんの友達であって。この文章を見たときに、これが松江さんと直井さんどっちが書いたものか、連名なので分からないですけど。やっぱり加賀さんに対する作為的な加害者に仕立て上げようとする文面に見えたし。実際おれその場にもいたし、映画でも見てるし、加賀さんとその前から付き合ってて、当時はわからないですけど、やっぱりこの文面からあるのは、保身と、そして欲と憎しみが感じられたんですね。この文面から。で、これをやっぱりその、作品を守ろうとしたということに置き換えるのも、そもそも作られた経緯の中に不本意な内容があったりして人を傷つけて作った。だけどもいいものを作りたいってその一心だけだった。で、そこでさらにそれに対しても撮影から12年もたってる、10年もたってるにもかかわらず、加賀さんは不本意だった。それをずっと上映を続けられて、それを自分の裸体と辱めを不本意に受けてるところを納められたものを何度も何度も繰り返し上映されてきた。そういう人に対して、とてもじゃ無いけど書ける文章じゃないなと、ぼくはこの声明文を見たときには思いました。

松江:なるほど。

牛丸:加賀さん含め、そういういじめっていうものだったりとか。あとは、性暴力だったりとかも含めて、きっとそういう同じ思いをした、さっき加賀さんの言ってた、それを傷付いたって言ってる人が、これを見たとしたら、本当にたぶんより傷つくし、腹立たしいことだって感じたんじゃないかと思うんですよ。まだ松江さんが自分にとってとても大事な作品だ。中にはこれを、童貞をプロデュースを見て映画監督になったっていう人もいるのかもしれないですけど、性暴力を受けた女性とか、男性同士とかも世の中にはあると思うんですけど。そういう人たちからしてみれば、これを見て新たな作家が生まれることなんて、望んじゃい無いというか。よりまた一人の暴力を助長する作家が現れたと…

加賀:悲劇しか生まないと思う。ぼくはそうポジティブには捉えられ無いです。素直には。確かに、その、牛丸さんのは冷静に言ったと思うし、ぼくが言ったのは、素直なぼくの気持ちでしか無いと思う。そこでもうぼくらの価値観の一致とかもないでしょうから。それはもう、ぼくらの価値観でしょうから。そこはもう一致しないでしょう、と。そこはもう、引くより他はないですけども。ただ、事実として、事実関係をこう整理してきて、どうするかっていうことだと思うんですよ。本当に。今後。それはもう、考えてもらいたいなと思います。

松江:今言いたいのは、ぼくはさっきも言ったように、そういうふうに守ってくること自体が人を傷つけてたんだっていうことに、2年前と今違うっていうことなんだよ。だからぼくは意固地に自分の作品を守るっていうふうにしていたことが間違ってたんだなっていうふうに、今思ってる。

加賀:それはさっき、話は聞きましたけど。そこはわかってもらいたい、今。だから今直接…それってわかるわからないじゃないと思うんですよ。もうそこまで行くと。要は、ある種、その、そこにはなんか、ぼくが納得しないレトリックも含まれているし、それはもう、信用するかしないか、信じる信じないの話になってくると思うんですよね。それはもう、なんか、別に、たぶん本心で言ってるんだろう、今言ってることは嘘じゃない範囲でものを言ってるんでしょうけど。僕ははっきり言ってしまうと、言い方が気にくわねぇなっていうのが素直な気持ちです。ただそれは、こういう言い方で言ってくれよってのは、僕は言えないんで。それこそ、強要だと思うので。言えないので、その、そもそもこの問題はぼくが気持ちよくなるかどうかなんてどうでもいい。気持ちよくなんかならないわけですから、どうでもいいわけで。そこはもう、一致しないですよ。これは、なんか。あの、う〜ん、ただま、友人としてアドバイスすると、今松江さんすっごいダセェよってことです。僕が言いたいのは。

藤本:たぶん言葉選びというのに、深層意識っていうのが現れているんで。そこもたぶん自分で気づかないとどうにもならないことだとは思うんで。

川上:性暴力とかの専門家ではないんですけど、ちょっと性暴力の被害者の方を被写体にして撮っている映画に今、3年くらい制作中で。加害者の認識を誰かあれば、当時、10年12年たっても、その時ごめんだけでは済まないわけで。加賀さんの人生はその12年で大きく変わってるわけなので。感情の回復という段階に進むべきだと思いますね、加賀さんの。それをやれるのはやっぱり、松江さんだし、直井さんだし、松尾さんだったり、実際の当事者たち、もしくはすごく近い人たちが、加賀さんのことをもっと理解するっていう姿勢をもっと出すことがまず、第一歩なんじゃないかな、と。対話を続けたほうがいいと思う、加賀さんが望めば、ですけど。謝罪で済む話ではなくて、これはもう、松江さんがドキュメンタリー作る人なので認識されているとは思いますが。責任を負い続けなきゃいけないし、それを最終的に加賀さんが2年間に舞台で、どうしても話が通じないから発露したわけで。それに対してこの声明というのは二次加害に見えるし。この声明自体も加害行為だってう認識を持ってもらったほうがたぶんいいと思うし。それをやっぱりプレスリリースにして、パブリックに出しちゃったわけだから、それに対する責任も、昨日直江さんにも話しましたけど、明確にとってやらないと。それがたぶん、松江さんの作家としての、松江さんのためにもなるんじゃないかな、と思います。第三者として、思います。

藤本:どうですか、具体的なその話って、加賀さん。松江さんに考えてもらったほうがいいですか?

加賀:うん、まずはそうなんじゃないですか?まずはそうじゃないですか。

川上:人の認識がころっと変わるわけじゃないからね。

加賀:うん、だから時間はかかることだと思います。ただ、今後も加賀氏と和解を目指し話し合いをしていく予定です、って、本当に努力したのかって。寺内さんを介してし合いをしたい、密室でっていうことですよね。僕は、公開でって返事をして、そこで終わってるわけですよね。それ和解を目指して話し合いをしていたのか、予定って書いてますけど、その予定は、あの…どうだったのかと。不十分だったとは思わないですか?

松江:僕はやっぱ、加賀くんのタイミングがわからなかったってのがある。僕はいつも君のツイッターを見てるかっていったら見てないんだけど、人から聞くと、こういうふうなことを言ってるってことを言われたりとか、なんかその、加賀くんの気持ちの、いつがいいタイミングなのかっていうのは…だから木村くんが書いてくれた時っていうのが、もしかしたら会えると時かなと思って連絡したんだよね。

加賀:でもタイミングではなかったですよね。

松江:タイミングではないの?

加賀:公開を前提にっていうことを僕は何度も言ってますし。

松江:でも、今こういうふうにカメラを回しても、ぼくはいいよって言ってるし。

加賀:それはだから、この近々の話ですよね。この2年間の間で。

松江:そこまでは、僕ができなかったのは、申し訳なかった。僕はどうしても、まず加賀くんと会って話がしたかったの。さっき話したような…

加賀:その話し合いが外に出せない理由はなんなんですか?

松江:でも、これは外に出るわけだよね?

加賀:これは今の話、2年間の努力している予定のなかに、この、なぜその、公開の前提がダメだったのかっていう。

松江:それはね・・・

加賀:要は公に権利侵害が行われているわけですよ、公に名誉毀損が行われているわけですよ、それが密室で解決できるという発想が、理解できない。そもそも、常識的な考え方として理解できない。

松江:僕はね、いや、ごめん。やっぱり加賀くんとちゃんと話したら伝わると思っちゃってるんだよ。

加賀:それは、俺が思ってたのを裏切られたんであって、ガキと話してんじゃねぇんだよ、本当に。

松江:ごめんなさい。

加賀:わかりませんでした、その時気づけませんでしたって、本当にそうなんですかね?気づけたんじゃないですか?これだから、僕らだけの話じゃないと思うんですよ。僕ら以外の人たちも共有するべき話だと思うし、気づけたと思うんですよ。本当にここまで言って、つまりここまでぼくは、本当に松江さんをここまで追い詰めなきゃいけなかったのか。もっと手前で松江さんが気づくタイミングがあったんじゃないのか?って。ここまでしないと、こういった問題、こういったケース、解決しないの、今後も。それは、ブーメランだっておっしゃってたし、もっと気づくタイミングいくらでもあったと思うんですよ。

松江:そうだね。

加賀:で今、作品をまもるっていう言葉で表現してますけど、動機も果たしてそこなのか?っていう。

松江:動機はそこっていわれると、いや…?

加賀:それだけなのか、っていう。物事をシンプルにしすぎな気がします。ある程度、枝葉がつくような話でもあると思うし、そういうのをなんかもっとつまびらかに言っていくべきだと思うんですよ。いろんな力学が当然そこにはあったと思いますし。それは、単純に作品がっていうことだけでもないと思うんです。直井さんがいたり、松尾さんがいて、劇場で公開するとか、いろんな人が関わったりして、単純じゃない。僕もいろんな言葉を尽くしたのも、単純な話でもない気がするんですよね。ぼくが嫌だったからとかっていうのは、ある、ある、それはあるし、嘘じゃないし、内容的に、作品の内容に加担することが僕が納得できないっていうこともあるし、いろんな要素があると思うんですよ。今その、作品を守りたかったんだって、観客がどうこう、それを無下に一言で否定するつもりもないんですけど、それはそう思ったのは事実…

松江:それは2年前のって話ね。

加賀:なんでしょうけど。なんか、果たしてそこだけなのか、そこに集約させて、整合性がとれるのか、どうなのかっていう。例えば、嫌じゃないですか、これ、こういうことが繰り返されたら。当事者だから考えられることって、あると思うんですよね。要は言ってしまえば、これ作る前の松江さんに僕たちは、僕たちって言ってるのは、今の僕たちが、なんて言ったらこういうふうなことを気づかせてあげられたのか。当時の松江さんに。あるいは、公開する、しないっていう時も、僕らはなんて言ったら気づかせてあげられたのか。

松江:加賀くんはさ、もしもだけど、ガンダーラの上映だけで終わってたら、こういうふうに言ってた?

加賀:いや、言ってないんじゃないですか?それはさすがに。

松江:あぁ、ガンダーラの上映だけだったら、こういうふうにはなってなかった?

加賀:それはもちろん、僕が我慢してですよ、我慢して…

松江:それだったら我慢できた?

加賀:ま、我慢できたかっていう言い方がなんか…何を言ってもいまの状態じゃ僕はカチンとくるのかもしれないですけど、どこなら我慢できたっていう言い方は、こいつ、マジで、なに言ってんの?って思うですよ。

松江:ごめんなさい。

加賀:どのラインだったら、おまえ我慢できたのって。

松江:違うよ、そんな言い方してない。ごめん。

加賀:いや、でもそういう風に聞こえたから、う〜ん、だから…

松江:違うの、もしいま…

加賀:そもそもダメでしょ。

松江:映画を作る前の話をしたから、今思ったんだよ。加賀くんがもし、ガンダーラ映画祭の上映だけだったら、どうしたんだろう?って。

加賀:具体的な行動をどうしたかっていう、もしもの話をするんだったら、たぶん、僕は、人れず我慢したって思うね。

松江:そっか。

牛丸:そもそもガンダーラ映画祭での上映に関しては、加賀さんは了承をしたんです。いやいや、しぶしぶだったにしろ、それはわかったと、でもそれ以降、上映しないでくださいねと。でもそれ以降の上映、劇場公開なり、ソフト化などもろもろ話が進んでいくにあたって、そこには一切、許諾していないわけで。そうすると、じゃ、それだったら我慢できたのか?っていうより、許諾を受けれたのはそこまでだったということだし。制作段階での行為っていうのは、度重なる約束を破ったっていうのがまずあって。撮影段階においてでも。で、その制作された時の企画の趣旨としても、ガンダーラ映画祭で上映するということで、そこに関しては加賀さんはその趣旨のもと許諾したと。じゃ、それ以降止めてたら言ってなかったのか?って言ったら、それはそうなんじゃないですか、ってこと。許諾したにもかかわらず、逆に、許諾したなんて事実は一切なかったって言ったら、それは加賀さんの嘘になるし。だけれども、その過程の中にも、そこまでも、フリでやるって言ってたのに本当にやったりだとか、行く行かないのはなしだったのに、結局行くことになったりだとか。そういう度重なる、自分の主張だったりとか約束したことだったりが無きものにされたということが、まずあったと思うんです。

松江:本当、ごめん。でも俺、ごめん以外、言葉がちょっと、今はないんだよね。本当に。

加賀:ご自分の功名心であるとか、金銭欲であるとか、色気を出した部分っていうのは、本当に無かったのか?

松江:上映に関しては、あった

加賀:例えばですけど…

松江:この映画はチャンスだと思った。

加賀:ガンダーラでやるときに、僕はいやですと。編集が終わった段階でいやですと。しまださんから俺はこれで金もらってるわけじゃないとか、金のためにやってるわけじゃないんだとか、ノーギャラでやってんだと。ノーギャラでやってんのに、何十時間の素材を編集した。時間をかけたのをどうするんだ?っていう、言い方をしたわけじゃないですか。でもその後は、劇場公開をして、収益化しているわけですよね。で、直井さんから僕に来た連絡は、出演料10万円払いますっていう連絡がきたんですね。それは果たして妥当なのか。

松江:妥当かはわかんないけど、それはたぶん、直井さんが決めた金額だと思うけど。

加賀:直井さんが決めた金額なんですね?

松江:たぶん。

牛丸:直井さんはそうは言ってない。

松江:僕が10万円払ってくれって言ったんですか?あ〜、そっか。

牛丸:それを要するに、松江さんからの気持ちだと思い、自分は加賀さんに渡そうとしたんだっていうふうにおっしゃってた。

加賀:気持ちでっていう…。

松江:その金額の妥当性とか、ちょっと僕は…

加賀:金額の妥当性以上に、金額以上に名目の妥当性があるのかっていう。それだって、金じゃないんだって綺麗事抜かしておいてですよ、あのとき。それで、出演料、しかも気持ちだと。松江さんからの気持ちだって。いやいやいやいや、何を仰ってるんですか?って。っつうか、そもそも、直井さんからお礼をもらういわれなんか一つもないわけですよ。それもその、直井さんは後から来た人じゃないですか。僕らの。僕らが一緒に作ったものに対して、後から入ってきて、直井さんが俺にお礼をするんですよ、それで金儲けするって。こいつらふざけてんなって思うでしょ?そういうのを抜きにして、作品守りたいとか、観客に感動してくれたと言ってくれたのを、それを守りたいとか。ふざけたこと抜かしてんじゃねぇよ、って。普通の常識的な感性で言ったら、そういう感想になると思う。かっこつけんなって言ってるんですよ。この期に及んでですよ、この期に及んで。

松江:ごめんね、いま、それは…

加賀:もしかしたら2年前はそれで逃げ切れると思ったのかもしれない。こんなのを出してるくらいだから、でもこの期に及んで、それはないでしょう。本当にあなた。

松江:ごめんね。いまの僕の気持ちと、12年前の気持ちで出演料といったのとは、またいま全然違うから。そこはちょっと一緒にしないでほしい。

加賀:一緒にものを作ったと思うって、いま、いまさっき言っといて、それでなんか出演料ですと、10万です、と。俺は直井さんに、じゃこれ、内訳どうなってるんですか?そもそも出演料っていう名目がよくわからないし、どういう内訳になってるんですか?って返事をした。そしたらもう、それ以降ぱったり返事がこなくなった。それはもう12年前に松江さんにも話してますけど。で、ぱったり連絡こなくなって、夕張映画祭で会ったと。アディーレの食堂であって、でもその時に、そういえばこの前話してたメールしていた件ですけど、返事ないんですけど、どうなってますかね?って言ったら、東京帰ったら絶対連絡すると。絶対連絡するからって言って、でもそっからもやっぱり連絡きてない。もう、そのやっぱりっていう、頭に「やっぱり」っていう言葉が付くぐらい、当時、失望していたってことですよ。それをなんかきれいに解釈しすぎているのが、道理が通らないですよ。

松江:本当にごめん。

加賀:あの、もっと、なんだろう、自覚がなかったとか、あくまで自覚がなかったっていうことは、本当に思ってんだったら…そんなの信じられるはずないじゃないですか、普通に考えて。本当に加害の意識なかったんですか?悪意はなかった?俺が嫌だ、キズ付いているんですってあれだけ言って、現場でも僕が土下座して止めてくれってお願いして、で、笑いながら俺が勃起してるのを撮ってですよ?本当に加害の意識がなかったのか。

松江:加賀くん、ごめん。本当にあの時は、映画を撮るってことしかなかった。だからそこは本当に申し訳ないと思ってる。そこはもう、いま、当時の自分に戻れるんだったら、それはもう、何やってんだっていう風にいう。そこは。そこは、本当にごめん。加賀くん。

加賀:う〜ん。

松江:いうとだから、加害の意識がないから、こういうものも出したんだと思う。俺は。

加賀:ま、そうなのかもしれないですね。ただこれ、この声明文で殺してるのは、俺だけじゃないっていう自覚も持った方がいいですよ。

松江:それはわかった。

加賀:それは、松江さん自身にも関わってくることだから。

松江:それは、わかった。だからさっきも言ったように、自分が意固地に作品を守るっていうことを名目にしていたことが、誰かを傷つけてんだっていうふうに、いま、考える。

加賀:その誰かって、誰だと思ってんですか?

松江:それは加賀くん以外にも、性についてそういう風に考えている人におれはもっと無自覚すぎたな。と。

加賀:いや、ちがう、それだけじゃないですよ。もっとですよ。そこが無自覚なんですよ。この作品に関わった人、例えば、面白いって言った人ですよ、あなたがいま守りたいって言った、その人たちも、傷つけてるんですよ。

松江:そうだね。

加賀:松江さん自身も傷つけてるし、松江さんのご家族も傷つけてる。その自覚を持ってほしい。だっておれは、噓を書かれたら噓って言い続けるしかないですよ、当たり前じゃないですか。それをこの期に及んで、おれに噓って言わせない。言った言わないに持ち込んで、おれを嘘つきにして、おれに我慢を強いるんだったら、そんなの許されるわけないじゃないですか。おれは言いますよ。そしたらその結果、誰を傷つけるかって言ったら、あなたの身の回りの人を傷つけるわけですよ。ほんと、自覚のなさが犯罪的ですよ。犯罪そのものなんですよ、言っちゃえば。

牛丸:この文面を見た松江さんにもご家族があるように、当然加賀さんにも仲間もいるし、ご家族もあって。「そういった事実はいっさいありません」って書かれたっていうことは、加賀さんが噓を言ってるっていうことになっちゃうじゃないですか。そうすると加賀さんのご両親なり幼少期関わってきた人たちとかは、加賀さんところの賢三さんは、暴力を振るって、ないことを言って、人に迷惑をかけている人なんだって思われてもおかしくないような声明だと思うし。それはやっぱり、当時の事実を鑑みるってことを思ったとしてもやっぱり、非常に彼の人格とか未来を傷つけるものになっていると。

加賀:だから僕自身、やったことに対しての責任は発生していると思うんですよ。ただ、完全な言いがかりで僕はそういうことをしたっていうことじゃないですか。でも実際にはだって本当にそうですよ。僕の家族、昨日も母親からメールありましたよ。この件で、だし。それはいろんな人にも言われますし、今まで付き合いのあった人たちがすごくよそよそしい態度をとったり、そんなの普通にあるし。その2年の間だけでも。

松江:それはすごくよく分かる。

加賀:いろいろありますよね、実害そのもの。仕事もそうですけど。

松江:本当にそれはよく分かる。加賀くん、本当に悪かった。それは。そこはすごくわかる。

加賀:『宮本君から君へ』のメイキングに入ったんです。真利子さんとは久しぶりの、前に一件あってから会ってなかったんで。(聞き取れず)会うのも怖かったし、ほかも昔の友達とも久しぶりにあったりして、現場に行くのも怖かったですよね。顔みるのも怖かったし。でもお互いよそよそしかったり。でも、ま、結果、真利子さんは変わらない人ですから、昔の通りで。ただなんか、真利子さんの中にも誤解があったみたいで、それ違いますよって訂正したんですけど。やっぱりそういう誤解はやっぱりあるんだなと思って。話は全然できたので、良かったんですけど。逆に言うと、話ししなかったら真利子さんはこの件に関して誤解を持ったままいたんだなっていう風に思うし。

松江:宮本見たときは加賀くんの名前見たときは…

加賀:なんかあれしかもテレ東が入ってたしね。やっぱりそこは俺、真利子さんに迷惑かけたらどうしようとかもちょっと思ったし。結局概ね良かったんで、その件に関しては良かったですけど。なんかいろいろとありますよ、細かいの。

松江:あるよ。それを…そのキツさをわかるっていうなら、俺は本当にわかる。それは僕も一緒だよ。本当にわかるよ。こういう件があって。

加賀:僕はぶっちゃけて言うと、そういう件があったから、こういう話しができてるのかなって正直思います、やっぱり。僕の声が直接届かないんじゃないかって。なんか第三者の声があって、ようやくこの場が持てたのかな、っていう風には思います。逆に言うと、第三者の声があったから、こういう風な文章になったのかなとも思うし。だからやっぱり

松江:そうだね、ちゃんと当事者で話すべきだったね。ごめん。

加賀:いや、誰かを守ってるんじゃねぇかって気もするんですよ。

松江:いや、加賀くん、本当そうだよ。この2年いろいろあったっていうか、もちろん。なんか、加賀くんがどういう風に僕のことを見ていたのかはわかんないけど、本当にこの2年自分がどういう風に見られてるんだろうとか、本当にいろんな人からいろんなこと言われたし。ただ不思議と、間に立つっていう人は本当にいなかったんだよ。そこなんだよね、実はちょっと不思議だったのは。木村くんなんだよね。俺にとって初めて。みんななんかちょっと、多分加賀くんが一番わかると思うんだけど、この件に対して誰に何を言われるかっていうのは、それは多分僕も一緒なんだよね。その度になんか、言うことがちぐはぐになっちゃったり、直接言わなきゃいけないことは言えなかったし。そこはすごい苦しかったんだよ。やっぱ俺、この2年。で、今回こう、ま、ここまでかかったかっていうのもあるし、なんかここまでらなきゃ会えなかったんだなっていうのもあるし。もう俺は正直あるんだよね。

加賀:ここまでしないと会えなかったって?

松江:ここまでしないと会えなかった。だから僕は、これも必然だったのかなっていう気持ちもちょっとある。

加賀:なんか、やっぱり悪って弱さからくると思うんですよ。加害性って。だから…

松江:だから俺はちょっと本当、この2年、うん、ちょっときつかった。それは映画だけの話じゃなくて、自分の人生とか考え方とか生きかたにも影響するっていうのは、それはもちろん。そこは俺が抱えなきゃいけないところ。だけどそれが ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ おれはもうちょっと限界だったんだよね。

加賀: ■■ ■■ ■■ ■■ ■■

松江: ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■

加賀:だから…

松江:だから、加賀くんの今の現場の話とかよくわかる、おれも本当にそうだよ。そこは。

藤本:あんまり、よくわかるっていう気にはならないほうがいい気がします。あの、今から理解していく、時間をかけて理解していくっておっしゃってましたよね。

松江:あの、僕がよくわかるって言ったのは、加賀くんが現場で感じることとか。行った時に感じることっていうのは、うん。

加賀:ま、ま、それは当然、共感っていうのは***の話だと思うんで。

松江:いや、違う、僕も一緒だよっていうこと。

加賀:でも、違うっていう見方もあるかもしれないけど、同じだという意見もあるだろうし、そこはもうグラデーションがあるので。とりあえず、僕は否定するつもりはないですけど、おっしゃったことはま、そうなんだろうな、と。

松江:いや、現場が怖いっていうふうのを聞いて。

川上:ただ明確にしといたほうがいいっていうのは、その原因を作ったのは松江さん側ということ。

松江:そうですね。

加賀:ただま、僕のほうは怖いと言っても、めんどくさいに近い怖いですけどね。僕はただ、胸張ってもいい。ただ、人に迷惑をかけちゃうかもしれないから、そこは怖かったですけどね。真利子さんとかに迷惑かけちゃったらいやだな、と。ただ、ま、僕がどう思われるかは、自分はやるべきことをやっただけだとしか思ってないんで、正直。それは僕の価値観の歪みかもしれないですけど、僕はそういうふうに思っているんで。だから、う〜ん、そうっすね。俺は松江さんにはもっと強くなってらいたいな、と。この、

松江:でも僕は加賀くんがダセーって言ったじゃん、でも、そこも自分がダサいのとかも出すしかないからね。加賀くんには。

加賀:いや、本当に、納得はしてないですけど、ただ、なんかもっと大事なことってあるだろうって思うんですよ。今、変わろうとして変わってきて理解が進んでいるのかもしれないですけど、今いったことですよ、これって誰を傷つけているのかって言ったら多分、松江さんにとって大事なものを傷つけていると思うんですよ。だから、それを考えたらもっと、無様でもいいと思うし、やることあるんじゃないか な、やることっていうか、とるべき態度というか。

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