加賀氏と松江氏の対談 テープ起こし(1)
*被害者である加賀氏には、起こしを公開することについて事前にご承諾いただいています。
*発言者の敬称は省略いています。
*誤字脱字は極力確認しましたが、分量が膨大であるため全てを確認できていない可能性があります。
*聞き取りにくいところは「****」と表示しています。
*個人的な話やセンシティブな話については、配慮のため黒塗りにしてあります。
* 誤字・脱字を修正しました。(1/23)
松江:あの、メモしたこととかで携帯をちょこちょこ見るかもしれないですけど、すみません。
藤本:姿形だけわかるように途中で写真撮るかもしれません、気にせず、ぞのままで。
松江:途中で。はい、わかりました
松江:松尾さんとxxさん、ここで同じ席だったんですよね。
満若:はい、同じ位置で。
松江:お手洗いに行っていいですか。
満若:写真撮るのめんどくさいので4Kにしちゃった
藤本:レコーダがけっこういっぱいになっちゃった。この三日間で。こんなに長く録るのもあんまりない。途中でもし万が一切れたら・・・大丈夫だと思いますけど
藤本:昨日と同じような感じで
加賀:はい、わかりました。
松江:牛丸さん、僕たくさん水飲むので、あまり気にしない方が。
牛丸:ああ、はい。
加賀:お久しぶりです。
松江:お久しぶりです。
加賀:じゃあ始めちゃっていいですか。
加賀:始めに言っておきますけど、カメラは置かせていただいています、あと、一応公開が前提で録画はさせていただきます。
松江:はい。
加賀:で、話の要点を見せるためにハサミは入れさせていただきます。
松江:編集するってこと?それはもう。加賀くんが、はい。
加賀:あの別に、恣意的な印象操作とか、そういうことを意図して編集するわけではないということはご理解いただいて、ただもちろん、主観的なものになるっていうのはあるかもしれないですけど、基本的にはそういうことで。
松江:はい。
加賀:基本的にはそういう感じで。
松江:あの、僕話している中で固有名詞とか出さないように気を付けているんですけど、
加賀:あとで言っていただければそれはメモします。
松江:うん、もし家族の名前とかでちゃったりとか、あの、誰かの名前が出たりとか、そういうのは、ちょっと。そこだけ。
加賀:そういうのは、みなさん、僕も。
全員:はい。
松江:ただ、気を付けてしゃべるようにはします。
藤本:ちなみに今日はどういうスタンスでお越しになられたんですか?
松江:僕はまず、加賀君と直接話をするというのと、僕はあの、基本的なスタンスとしては、謝罪をしに来た、というのが。そしてできればそれを加賀くんに、あのー、うん、お互いそこが、うーん、わかんない、納得っていうのは、お互いに納得するということだけど、自分自身はちゃんと全部伝えたいし、加賀くんにもそれを伝えたいなと思ってきています。
藤本:はい。基本的に、順を追ってお話を、当時のこともいろいろ確認しながら進めていければと思うんですけれど。
松江:あっ、そうそれで、例えば、僕が、なんていうんですか、もう基本的に、ガジェット通信さんのインタビューと、あと加賀君のf/22さんのインタビューを読んで僕は来ていて、そして僕が伝えたいことに関しては、僕は話はするんですけど、あそこが違うここが違うと争うつもりは、ぼくは全くなくて、基本的に僕は、加賀君がなにか嘘を言っていると言うつもりはないし、ただ僕が言った事実とずれたとしても、それは別に嘘をつくつもりはないので。だけどそれがこう・・・加賀君にとって不快なことだったら、すぐに言ってほしい、というか。お互いにそこを今ああだこうだというふうにはしたくない、というのが今の。
藤本:当時の、その松江さんがどういう風に考えていた、っていうのを照らし合わせて、と言う形で
松江:はい、はい。そうですね。そのために、間に第三者の人が入ってほしい、というのは。僕も、このあいだ、加賀君とショートメールでやり取りしたんですけど、木村文洋君のが、あれ、きっかけ。で、あれ何月くらいだっけ?夏だったよね?
加賀:8月とかじゃないですか?
松江:そうだよね。だからあのときも、ああゆうのがきっかけになるんだなぁと思って。僕はショートメールでやり取りしたんだけど、やっぱりその、お互いに間に入ってもらって、この人だれ?って。木村文洋君かな、ともあの時思ったんだよね。だけど加賀君がちょっとそれは違う、ってなったりとか。ちょっとそこはどうしてもすり合わせられる人がいなくて。だから僕は、今回はやっとできたかな、と言う風には。うん、ちょっと、はい、
藤本:それでは「童貞。をプロデュース」の1のところから聞かせていただきたいんですけど、最初にもともと加賀さんのブログをご覧になって声を掛けて、っていうので間違いないですか?
松江:加賀君のブログって、あの昔書いてた・・・やつだよね?あれmixi?ブログだった?ただね、それを見て、というわけではないですね。僕の中では、調布映画祭。調布映画祭で、その上映会の時に加賀君が来ていて、その飲み会のときに最初から撮ろうと思っていてね。そうですね。その時にも、加賀君の撮った作品というのがすごく他の生徒と違ったものがあるというか、映像を初めてやる・・・いろんなタイプがいるんですよね。初めてカメラを触ったとか、映画を作ってみたとか、そういうのとはちょっと違う感じの・・・なんていうかな、自分の味があるというか、そういう印象があったんですよね。で、そのときに生徒とこうして関係があったかというと、それは特になかったよね。
加賀:なかったですね。
松江:僕の中では、調布映画祭の飲み会の時が印象的で、なんか自分が童貞であると口にしたり、それでその場を盛り上げるというのが僕にとってはカルチャーショックで、そういうのは隠すものだと認識していたから、そういうのを言えるのは加賀君はすごく面白いなぁと思っていて。で、そのあとブログとか教えてもらったんだっけ?そこはちょっと覚えてないんだよな。
加賀:いや、mixiに連携機能みたいのがあって、それでmixiではつながってたんだと思いますね。
松江:ああー、そっかー。で、それをまた読んで、みたいなのがきっかけだったと思います。
藤本:で、そこに書いてあることが、その、童貞であるとか恋をしているという話で、それをそのまま映画にしようと?
松江:そのまま映画にしよう・・・・?
藤本:それを題材に映画にしようと?
松江:そうですね。それで加賀君に連絡を取って、そういうふうに一緒に映画を作らないかというふうに。映画を作らないかっていうきっかけは、ガンダール映画祭というイメージリンクスという映像団体を主宰していたしまだゆきやすさんという人がそのガンダーラ映画祭というと、はじめてやったんですよね。「童貞。をプロデュース」というものが。で、背徳映画祭とか他の映画祭とかやっていたんですけど、なんていうか、ドキュメンタリーを主軸にしたインディペンデント映像を始めたい、ということになって、ぜひ松江君も。もちろん僕以外にもいて、そのなかで上映したいというのがあって、そのタイミングですね。ドキュメンタリーで面白いものを作ろうってなって、それで加賀君の・・・ってあれ何月だった?
加賀:春だったような・・・
松江:春か。じゃあだいぶ時間はありますね。春だとしたら、その映画祭の話とかアイデアっていうのは、あれ1月とか年をまたいでの上映だったので、たぶん秋冬だったと思うんですよね。で、僕は思いついたらパッと動くので、多分「童貞。プロデュース」・・・あれ11月か12月か。加賀君と出会ってから、出会ってじゃないや、調布映画祭で加賀君面白いなぁって思ってから、たぶん俺ブログ見続けたんだと思いますね。mixiとかフォローしてる人全部見てたから。だから加賀君のをずっと見てて、面白いなぁと思ったんだと思います。
藤本:で作ることになって、これは結構大事なことだと思うんですけど、加賀さんがインタビューで、最初に話し合いながら製作を進めていくという取り決めがあったと加賀さんが言っているんですけど、それは間違いないですか?
松江:はい、はい(間違い)ないです。
加賀:してないってことですか?
松江:いや、取り決めをした、っていうこと。一緒に話し合って制作をしよう、って決めた。基本的にあの時は、加賀君の撮ったものを僕が撮影して編集するといったふうに考えていたので、撮っているときの現場で記録する主観は加賀君の撮影っていうふうに考えていました。
藤本:加賀さんからよれば、特に細かい指示は受けずに「ただ撮ってきて」って言われたと仰っていましたが。
松江:うーんと細かい指示は受けずに、というのは・・・それは僕は、あのー、最初加賀君が撮ってきたものを見せてもらったよね。
加賀:そうです。この、一緒にやるってなった前に撮ったやつです。
松江:そうだよね。見せてもらったよね。でもそれはたぶん、使ってないよね。
加賀:そうですね。あれは使ってない。
松江:だから、もともとこの作品じゃなく加賀君が自主的に撮った日常のものとか作品を多分使わなかったのは、僕が「童貞。プロデュース」という映画を作るときの、主軸というか、そこに合わないと思ったから。そうじゃなくてこういうものを撮ってきて、という話をした記憶はあるんですけどね、僕は。で、加賀君も撮影中に、今こういうことが起きましたっていうふうに言って、だったらそれを撮っといて、という風に言った記憶がある。
加賀:僕が唯一覚えているのは、小岩のベンチの落書きを僕がブログに書いていて、あれを撮ってきてくれって言われたのは覚えています。
松江:あー。でも僕が覚えてるのは、あれ撮った日って松尾さんとの撮影の後だよね。
加賀:そうです。
松江:そうだよね。松江さんとの撮影の後に、多分、なにか告白に行く前のワンクッションほしい、みたいな話になって、そういえばあの小岩に野ブタパワー注入っていうのを壁に書いてあったよね、ってなって、「今から撮ってきます」って松尾さんの撮影のあとに、撮りに行ってくれたのは覚えています。
加賀:それは覚えているんですけど、基本的に話はしたと思うんですけど、具体的に何をしてくれとかはなかったと思うんですよ。
松江:あー。でも僕は自分だけのアイデアであの映画を全部作ったつもりはないんだよね。あのー、例えばだけど、自転車がパンクしたところとかあったよね。
加賀:ええ。
松江:そういう自転車がパンクした場というか、自転車がパンクしたところを僕は分からないじゃないですか、離れていて。で、僕は、それは加賀君が自発的に撮ってきて・・・
加賀:あ、ていうか、そういう話を今してるんですけど。だから、何を撮ってくれっていう指示があったのは、僕が覚えているのは、野ブタパワー注入って書いてあった落書きを撮ってくれっていうことしか覚えていないですね。
松江:僕が覚えているのは、「歌をとにかく撮ってきて」って言った覚えがあるんだよね。
加賀:それは覚えてないですね。
松江:加賀君が、ブログとかでも自作の歌を書いたり、あと当時・・・
加賀:当時はYouTubeとか音を上げるというような・・・
松江:音じゃない。
加賀:音を上げるような場所がないので、僕が音楽をやっている、いややってるってほどじゃないですけど、そこまで共有してなかったと思います。
松江:でも僕は、加賀君が音楽ができるというか、ギターが弾けて自分で歌詞を書いて歌うっていうのが強かったから、要するに、映画の中で歌を歌うシーンってすごく気持ちが出る場面じゃないですか。それは撮ってって言って、頼んだ。
加賀:いや、それは言われてないですね。言われてないと僕は思ってますけど、そこは掘り下げてもいいですけど・・・
全員:それは言った言わないの話になるから・・・
加賀:それは問題にあまり関わらないのかな。僕が気になったのは、松江さんが当時、その、インタビューで、あれもこれも遠隔演出で、というのは記憶していて、
松江:はいはい。
加賀:そんなことはないのに言ってるなぁって印象はすごくあって。で、それを注釈つけて確かめたかったっていう。
松江:ああ、そうなのか。
藤本:遠隔演出ってどういう意味なのか、って。
加賀:逐一構成台本があるかのような、見る人が見ればそういうふうに捉えることもあるとは思うんですよ。
松江:ああー。
加賀:それは当時の印象として残ってるので、なかった、指示がなかったってことを証明することはできないですけど、僕の記憶のなかにはそういうふうにあるっていう。
松江:加賀君はあの作品、要するに加賀君が自発的に全部やったことであって、その加賀君が撮ったパートに関しては、僕の演出は一切指示はなかったという認識ってこと?今の話は。それを遠隔演出、取材でみたいに周りが見ていることが嫌だったってこと?
加賀:嫌だったとこじゃなくて、
松江:そこは納得いってなかったってこと?
加賀:いや、納得いってなかったとかじゃなくて、そこまでこだわることじゃないんですけど、当時松江さんが嘘をついてたなっていうふうに僕は覚えているんです。インタビューとか、あるいはガンダーラの時もそうですけど、ガンダーラの時点からそうだったなぁと。つまり、カメラで話しているときも、ああ、嘘をついているな、というふうに思って聞いてました。そんなこと言ってないのになぁと思いながら聞いていました。
松江:ああ、そうか。
加賀:そういうのは前も、12年前もしてたと思うんですけど。
松江:ああ、それがそういうことかぁ。要するに
加賀:それは分からないですけど、今言ったのは事実です。
松江:僕は、全部の全シーン加賀君を演出してるなんてそんなつもりはないし、でも加賀君がそういうふうに捉えたのなら、それはちょっと、はい、ごめんなさい。ちょっと言い過ぎた部分があったと思う。それは。そういうふうに加賀君が思ってるなら、悪かった。
藤本:あの、作品の流れがあると思うんですけど、松江さんがあるインタビューで、出演者には知らせずにストーリーラインを作っていると仰っていたと思うんですけど、「童貞をプロデュース。」のときにもそういうことがあったという感じですか?それか考えていた?
松江:当時は考えていました。
藤本:どの段階から考えていましたか?
松江:いや、最初からってことはないですね。僕がほんとに加賀君の前でカメラを回したのは、当時の僕の住んでいたアパートに、映画のほんとに始めのシーンなので回しながら話していたので、最初からAVの現場に行こうとかはなかったと思いますね。加賀君の話を聞いて、恋をしているって聞いて、当時僕もそのAVの仕事をしてたので、話の流れでそういうところと絡めたのかな、とは。で、そのときから、加賀君は嫌だったってインタビューとかで見て、すごい自分は強引に進めてたんだな、っていうのは思ったんですけど、あのー、その当時加賀君が好きだった人との話、そこをなんか作品の結末というか、テーマに、というとことはありましたね。
藤本:それはゴールは決めてたんですか?
松江:それはその時はゴールなんかは分からないけれども、そういうゴールになる。うん。もともとガンダーラ映画祭っていうのは三十分と決まっていたので、三十分のストーリーにして、と考えていたところはあります。
藤本:えーと、で問題のシーンなんですけれども、AVの現場に加賀さんを連れて行くというのは、どの段階で決めていたのでしょうか?
松江:それは一番最初に話しているときに、AVの現場に行って一皮剥けよと。それはカメラの中でも話してますんで。
満若:劇中でそういうふうに?
松江:劇中で、言ってますね。はい。
満若:劇中で、目的意識があって。
松江:はい、そうなってます。
藤本:で、行くまでに、加賀さんが結構嫌がってたという。で、そのやり取りが、加賀さんから聞く限りは、とても強引な感じに聞こえたんですけれども。例えばその、コイントスをやって、加賀さんが勝ったんですけれども、
松江:はいはい、前日ですね。
藤本:本編では編集されて、どうなったか分からない。そのあとで加賀さんとしては、ゴリ押しで連れて行かれたという。そういう認識は、ゴリ押しっていう認識は、当時はあったんですか?
松江:うーん、当時はゴリ押しって認識はなかったです。コイントスやったのは多分、前日に、イメージリングスだよね?
加賀:そうです。
松江:事務所で、あのとき多分、しまださん、あとはムラケンさんもいたよね。ムラケンさんもいて、あっ、撮影してるなぁって。当時後ろで編集やってたので。それで、コイントスをやって、そうですね。でも次の日、どういうふうにして待ち合わせしたんだっけ?覚えてる?直接ハマジムだったのか駅で待ち合わせしたのか・・・
加賀:直接ハマジムってことはないと思いますけど。 問題はそこじゃなくて、僕は行きたくないって主張してたんですね。散々行きたくないって言ってて、じゃあコイントスで決めようってなって、で、コイントスやって僕が勝ったんですけど、じゃあ行かなくていいよねってなったのに、いや行こうよ行こうよって。だからたぶんその段階でゴリ押しが始まってたんですよね。その時のその話をしたと思うんですけど、行きたくないと、なんで行きたくないのかってなった時に、言葉を一語一句は再現できないですけど「行きたくないです。怖いから行きたくないです」と。そう言ったら、絶対大丈夫だと。取材するだけだと。取材しにいくだけで、絶対何もしないから、と言われて、現場に行ったときに「俺が守るから」ってトーンでも言ってたと思うんですよ、松江さんは。だから当時、現場で唯一の味方だった松江さんに裏切られて、にっちもさっちもいかなくなったというような状態が生まれた、っていうのはそこもあると思います。なにも考えずにひょこひょこ行ったわけではないと。その中にいろんな話があって、結果、行くことになったという。それはゴリ押しがあって、僕が折れたって話になってると思うんですよ。それはなんでかって、そもそも行きたくないという前提で話をしていたわけで。そこなんですよね。
満若:そのあたりのことって覚えてらっしゃいますか?
松江:えっと今話を聞きながら、たぶん僕は、自分が味方になるというような言い方をしたり、いわゆる絡みはしないと言って、加賀君を説得した気になってた。だと思いますね。はい。
藤本:それは、最初から行かないという選択肢は、松江さんの中にはなかったということですか?
松江:えっと、僕の中ではなかったですね。あの時は。
藤本:絶対進めるということですか。
松江:そうですね。
満若:作品の構成上というか、そのシーンがないと成立しない、みたいなのがあったんですか。
松江:うーん、そうだと思います。
満若:じゃあ事務所と交渉する前段階で、松尾さんに取材に行くという話を事前にしていたんですか?
松江:はい、それはしてました。たぶん松尾さんの方がAVのこと詳しいと思うんですけど、つまりそのAVの現場で、なんていうんですかね、決まった人じゃない人がいて参加するというのはあり得ないことなので、女優さんにも、そこに見ず知らずの人がいてカメラをもう一台回してっていうのはできないことなので、事前に松尾さんには話していました。
満若:どういう感じで取材のオファーを出していたんですか?
松江:そこは松尾さんには。そこを松尾さんがどういうかわかんないですけど。僕の主観では、絡みまでやるとかそんなことは言ってません。だけどそのAV女優さんが童貞の男の子にちょっとアプローチかけるようなことをしてください、そういう演出を、そういう場面を撮りたいです、って松尾さんには伝えました。ええ。だから絡みをするとか、AVの性質上できないというか、単純に女優さんの仕事の範疇も超えてくる話だし、ギャラも発生するし、事務所としてそれどうなってるんだって話になるので、絡みまで撮るとかそんなことは言っていないです。
藤本:そこまで詳しくはお伝えはしていないと。
松江:ただ僕の問題はそれを加賀君に言わなかったことですね。加賀君にここまでやる、ここからはやらない、って言わないで現場に連れて行ってしまったということは、
加賀:逆にどこまでやるつもりだったんですか?
松江:それは、正直映ってるとこまで。「童貞。をプロデュース」に映ってるところまで。フェラチオさせるまでは、そこまでは松尾さんに言ったか言わないかそれは、ごめんなさい。
加賀:いや、それは違うと思います。まず「フェラチオされてくれ」って言われましたから。要はフリだけでいいって言葉が間にあるんですよ。要するに、フリだけでいいってことは、もっと、松江さんはもっと狙ってたと思うんですよね。
牛丸:それは現場で言われたんですか?
加賀:現場で言われました。
牛丸:じゃあ松江さんは事前の段階でフェラチオまでは想定していたか、それか女優さんがアプローチをかけるという程度のことを想定して現場に入れたのかは分からない?
加賀:どういうことですか?
牛丸:松江さんは現場に行く前は、フェラチオさせることまでは想定していなかった。で、現場に行った後で、要するに思いついてやれって言われた?
加賀:それは松江さんに聞くことだと思います。僕じゃなくて。僕はなにも知らない状態で行ったので、どういう意図でその場でやっていたのかということは、僕の知るところではないので。
藤本:で、基本的にはAVの現場に連れて行くということしか加賀さんには伝えていない?
松江:はい、伝えていないです。
満若:アプローチされるっていうのは、取材する段階でこういうシーン撮ろうかなとか狙って作ると思うんですけど、そのアプローチっていうのは、具体的にどういう絡みがとれるんじゃないかって想定をされてたんですか?
松江:うーん、僕の想定は、ちょっとセクシーに誘うというかそういうような。。。言ったのは、たぶんエキストラって言い方をしたよね?
加賀:いや、それは事前には言っていないです。現場での流れです。映画の中でも構成が操作されていると思うんですけど、行く行かないで揉めてたんですよね。それを汁男優をするかしないかはキャプションで操作されているってことですけど、実際は行く行かないで・・・。なんかもっとこう、個人的な思いで行きたくないがあって、もう一つはこう、作品の構成上そういう作品になるのが嫌だったというのが僕の中に合ったんですよね。あの、そういう方向にシフトしていくんだと。この作品が。
松江:はいはい。
加賀:それで話をしてた。でも編集上では、僕がただ気持ちで行きたくないでただ何かをすることに悩んでいるみたいな編集にはなってるんですけど、でも実際は・・・そうですね。そこでやりとりがあったと。基本的には何も知らされてなかったですよね。それって生のリアクションというかドッキリとして。
松江:反応を撮りたいっていうのはあったと思うよね。僕は、加賀君は否定するだろうっていう前提で言うんだけど、本当にダメなときは現場で関係ない言葉を伝えてってことは言ってたんだよね。
加賀:うーん、それは何なんですか?
松江:たぶん加賀君覚えてないっていうと思うんだけど、僕、本当にダメなときはやめてくださいじゃなくて、関係ない言葉を言ってくれたらカメラ止めるからって約束はしていたんだよね。
加賀:うーん。いや、言ってないです。
松江:言ってないか。
加賀:仮に言ってたとしても、仮にですよ、百歩譲って言ってたとしても、僕が覚えてないぐらいの追い詰められていた状態だったんだと思います。そうだと思います。あの時完全にテンパってたんですよ、僕は。言ってる言葉もたくさんあると思うんですよ、ただ僕が記憶してる限りでは、聞いてないです。しかもあの映像のなかで土下座してますよね。やりたくないって。土下座までして、普通の感性だったら、本気で嫌なんだなって分かると思うんですよ。これって演技してるって松江さん、本当に思ってた?逆に言うと。ほんとうは嫌じゃないのに嫌よ嫌よを演じてるって本気で思ってたんですか?松江さんあの時。
松江:当時の僕は思ってた。
加賀:ああ、じゃあ大丈夫なんだと。そこまで撮っても大丈夫なんだと。
松江:それは僕が言ったその・・・本当にダメなときの言葉を加賀君が言ってなかったからだと思う。
加賀:いや、それはちがうと思う。違うと思います。
松江:僕はその言葉は今でも覚えてるんだけど
加賀:いやそれは違うと思います。だって一回撮影止めて話ししようって言ったじゃないですか。あの段階で、だってそもそもですよ。あの、そこまでやって、カメラ止めた段階で話すればいいじゃないですか。意思を確認すればいいと思う。その言葉が存在してる、セーフワードみたいなのが存在してるってことで何かをかわそうとしているんですか。
松江:いや、かわそうとしてない。かわそうとはしていない、そういうふうには受け止めないでほしい。
加賀:でも本気でそう思ってるんだとしたら、そもそも事前に伝えてもよかったんじゃないですか?
松江:何をするかどこまでするかってことだよね。
加賀:要は撮りたかったのは、セーフワードを用意せずに、僕がどこまで追いつめられるか、追い詰められているところを撮りたかったんですよね。
松江:はい。
加賀:それが撮れ高だと思ってた。ってことは、そのセーフワードは絶対的に用意されてないってことだと思います。それは。
松江:そのセーフワードが?
加賀:だって話が矛盾しないですか?まず、僕の中で記憶にないのがまず一つで、
松江:あー、でもそこはごめん、だからね、僕は伝えたってことなんだよ。
加賀:でも
松江:ごめん、わかった
加賀:あの時覚えてます、はっきりと。いつまで待たせるの?松尾さんを待たせるなんて大したガキだ、って。俺は覚えてます。ってことは要は、僕結構渋ったと思うんですよ。かなり長い時間渋ったと思うんですよ。で、松江さんも本当に、いらだってたと思うんです。そこはどうですか?気持ちとして。早くしろよって気持ちはなかったですか?
松江:あー、それはね、加賀君・・・ちょっとごめんね、話が先に行くんだけど、あのさ「童貞。をプロデュース」についてなんかこうガンダーラ映画祭用に文章を書いたことあったよね。で、加賀君にも書いてもらったじゃん。で、俺、加賀君が書いてくれた文章を一回NGにしたの覚えてる?
加賀:うーん。どんな文章ですか?
松江:いやね、NGにした理由がね、俺が優しすぎるから、俺をもっと悪役にしてくれって言ったんだよ。
加賀:記憶にないです。
松江:加賀君は一回書き直してるんだよ。たぶんガンダーラ映画祭のしまださんがやってるブログに最終的に載ったものに。それは、僕は、
加賀:まったく記憶にないです。
松江:記憶にないか。あー・・・
牛丸:すみません、その載ったものって企画概要ですか?
松江:そうですよ。上映するときに加賀君の文章というか、こういう形で。
加賀:その文章は覚えてます、ネットにも残ってるし、記憶しています、ただ、
藤本:「童貞。をプロデュース」更新号とかに載ってるやつですよね。
松江:僕はただ一回加賀君にNGを出したんですよ。それはどういった内容かというと、自分が優しく見える感じがしたんだよね。
加賀:松江さんが?
松江:うん。僕は正直に言うと、あの映画の中で、なんていうのかな、加賀君に対して威圧的であるのをある種こう、自分の中に課してた、っていうのはあった。ちょっとこう・・・なんて言うのかな。
加賀:当時、当時っていうかちょっと前ですけど、土屋プロデューサー的なTプロデューサーみたいなのがあった。
松江:うんうん、あったと思う。高圧的な感じがあったと思う。
加賀:支配的なプロデューサーっていうのが。ただまぁ、うーん。やっぱり話を戻しましょう。その現場の話に。そのーなんか、納得いかないですよね。セーフワードが用意されてたっていうのは、納得がいかないですね。
満若:そのセーフワードっていうのは、どのタイミングで加賀さんに伝えたのかってのは覚えてますか?
松江:えーっとそれは・・・松尾さんには伝えてました。セーフワードは。撮影の前の打ち合わせの時。一回多分言ってるんですよね、電話で。
加賀:撮影の前?
松江:撮影の前。たぶん加賀君のコイントスの日なのか、その前。松尾さんにはセーフワードは言ってるし・・・でも、加賀君に実際どこで伝えたかっていうのは、でも多分言うタイミングだとすれば、どうだったかな・・・
満若:撮影の前?
松江:うん、撮影の前であることは間違いない。
満若:傍で聞いていて疑問なのが、当時松尾さんに伝えたのが、加賀さんと女優さんの絡みを撮ると。絡みというか、女優さんが加賀さんにアプローチするっていうシーンを想定したのに、なぜセーフワードが必要になってくるのかなっていうのは若干疑問なんですけど。要するにつまりアプローチっていうのは裸になって抱きつくぐらいの?・・・アプローチにもグレードがあるじゃないですか。
松江:ああ、そうですね。
満若:それが、セーフワードを用意してるってことはつまり、ある程度の絡みは想定していたんじゃないかなって話していて思うんですけど。
松江:それは、どのアプローチが加賀君にとってNGかっていうのを加賀君に確認を僕が詳しくしてないからだと思います。例えば加賀君がもしかしたらだけど、手触わられるだけでNGかもわからない。だからそれは加賀君の判断だよって。
加賀:いや、ちょっと待ってください。そもそもさっきの話に戻ると、僕は行きたくないって言ってて、取材するだけだって言ってたじゃないですか。そもそもなにもしないが約束なんだから、なにかをするってこと自体がおかしいんです。そもそも。だからセーフワードが存在するっていうのがおかしいし、もし言ったんだとするならば、どのタイミングで言ったかってすごく大事だと思うんですよ。それを覚えてないっていうのが、おかしい。整合性がそもそもとれてないって話じゃないですか、それは。
松江:整合性・・・?
加賀:いや、そもそもですよ、そもそもの話に戻りたいんですけど、本当に・・・こういう風に言って言葉がアレになるのは良くないですけど、ちょっと下手なこと言わない方がいいと思います。あの、僕はこの声明文とか、コレもそうですけど、悪い方にしか転がってないんで、僕はそれをしめしめとは思ってないんです。あの、敵だと思ってるかもしれないけど、
松江:僕は敵だと思ってないよ。
加賀:だとするならば、もっとあの、自己保身よりは、
松江:自己保身はしてない(苦笑)それは。
加賀:おかしいじゃないですか、今言ってることが。やっぱり。それは、あの聞いてないですし、そもそも。たぶん松尾さんとの間で話したのかもしれないですけど、それを僕に言ったと勘違いしてるのかもしれない、もしかしたら。今の話を聞く限り。
松江:そっかぁ。
加賀:だって、言ってるんだとしたら、僕は客観的に記憶にないので、僕の主観からして言ってない、で終わりなんですけど。でもま、確かに俺が覚えてないだけだって可能性もあるから客観的に考えたとしても整合性が取れてない。だからこれはおかしいですよね、って。二重の意味でおかしい。そこで、そもそも言ったタイミング覚えてないからおかしいですもん。
松江:言ったタイミングを今言えないのは、そのはっきりとどっちというふうに今あの・・・なんて言うの、確実に今覚えていることを話そうとしているから。
牛丸:もしセーフワードが存在していて、加賀さんがそれを認識していたとすれば、その現場で撮影を進めることを説得する際中に、加賀さんが例えばその言葉を言うだとか、その話し合いの中でそのセーフワード、加賀さんが不本意な思いをしないように用意されたその言葉・・・だったんですよね?
松江:はい、それだったら僕がカメラ止めるっていう。
加賀:じゃあ、ちょっと戻りましょう、イチから紐解いていきたいんですけど、事実関係を整理したいんですけど、僕は何も知らされずに来ましたと。じゃあスチールで入ってくれと。それも。その場の現場の流れで。
松江:あの、スチール入る前に、加賀君は松尾さんの撮影に参加してるか覚えてる?公園でチラシを配るシーンとか。
加賀:そう、そのこと言ってるんですよ。それも現場の流れで、はい、やって、って。事前にこういうことやってって話じゃなくて、なぜならそもそも取材しに行くだけって話だったんだから、もうその時点で僕はおかしいなって思ったんですよ。でもなんかそういう空気感、流れを用意されてて、やった、っていう。そのあとホテルに移動したら、「パンツ脱げ」とそういう話になった、と。で、「嫌だ」「やれ」と押し問答があって、さっき言ったようなやり取りがあって、でその時に、結構長い時間あったと思うんですけど、そしたら松江さんがじゃあわかった、って言って、で一回二人で話そうって言って、非常階段に行きましたよね。その段階でカメラ止めてるじゃないですか、そのときに、覚えてます、その時のやり取りも。カメラ止めて、「なんでお前嫌なんだよ。あの子かわいいじゃん」って言ったのを覚えています。それで「いや、そういう問題じゃなくて」
松江:いや、ごめん、カメラ止めないで話してる?
加賀:いや、止めてる段階で話してる。もう止めた段階で話しています。
松江:ああ、はいはいはい。
加賀:で、何でなのかと。いやそういう問題じゃないんですと、可愛いとかそういう問題じゃないんですと。でその時に、松江さんが、もうわかったと。カメラ回すから、同じようなこと聞く、と。そしたら「AV女優は汚い」と言えと。
松江:ああ、そうですね。
加賀:そしたら、俺が殴るからって言ったんですね。でそれ言われてじゃあ分かったんだ。んで僕はこのシーンはこれで落ち着けるんだなって僕の中でのある種の逃げ道が用意されたというか、やること自体がそもそも嫌だったので、逃げ道が用意されたという感覚で、言いたくはなかったですけど、それはもうすごく言いたくなかった言葉ですけど、でもまぁそれに乗っかったと。言い方は少し変えましたけど、「AV女優を綺麗なものだとは思えない」と。そしたら(殴られた)。それは撮った、撮りましたよね。そこで一旦仕切り直してるわけじゃないですか。カメラ止めてる中でそういう話もしていて、説得、そもそも説得を非常階段でしてるわけですよ。そのときに意思を確認できたはずですよね。もし僕のNGが通用するような人ならば。NGを出すような猶予がその場で与えられているとするならば。
松江:はい。
加賀:本当のところどうなの?っていう確認ができたはずじゃないですか。で、まだセーフワードが存在するならセーフワードの確認もその場で出来るはずなんですよ。でもそれをしなかったですよね。
松江:うん・・・。あの言葉を言わせたのは本当に悪かった、ごめん。それは自分の中で作品を面白くするためってだけで君に言わせた言葉だと思う。それは本当に悪かった。
加賀:まぁそれで、なんていうんですかね、そこである種、僕を悪者にして・・・
松江:うん、そうだね。いやそこもなんかすごく加賀君が。なんていうのかな、それを言わされたことに傷ついたってことはすごく伝わってきた。インタビューとか読んで。それは本当にもう。
加賀:たぶんそういうところが、ドキュメンタリーっていう・・・
松江:そうだよね。それをドキュメンタリーっていう形で公開したってことだよね、そうだよね。
加賀:それも12年前にお話ししたと思うんですけど、いろんな話をしていく中で、じゃあセルフドキュメンタリーって言えばいいじゃないですかってことも僕は言ったと思うんですね、そのときにドキュメンタリー・・・でってことを言ったと思う。その話も12年前の段階で出たと思う。
松江:そうだね。そこはほんっとに悪いと思う。
加賀:僕はそれでオチがつくかと思ったんですけど、戻ったら続きが、、とか。
松江:うん。
加賀:で、松江さん、カンパニーさんがズボン脱いでパンツ脱いで、「俺たちが脱いだんだからお前も脱げ」っていう話になって。それで「やりたくない」って。だんだん、ちょっとずつ要求を詰めていくような感じで、で俺たち脱いだんだから脱げよって。でいやいや脱がされて、で、いやでも行為は出来ないです、って話になって、で押し問答があって、「いやだ」「やれ」っていう押し問答があって、で、じゃあわかったと。フリだけでいいからやれと。フリだけで終わりにしようという話になったと思うんですよ。でやったと、そしたら女優さんが、フリじゃなくて本当にくわえてきた。あれは、実際やったことは誰の指示なんですか?
松江:うーん・・・
加賀:あの女の子の意思なんですか?
松江:あの女の子の意思だと思う。
加賀:あの女の子が、本当はフリだって話だったのに、あの女の子が・・・
松江:うーん・・・
加賀:じゃああの女の子もフリだってことは分かってたと思うんですけど、
松江:フリだという話は聞いてたけども、やった、ということだと思う。
加賀:うーん、じゃあ女の子に加害性があると?
松江:うーん・・・ただ彼女は、加害性を持ってやったかというと、それは違うと思う。
加賀:いや加害性って別に本人がどう思っているかじゃなくて、
松江:じゃなくて、加賀君がそう感じたってことなんだよね。
加賀:行為自体が。松江さんはそう言ってる、松江さんの名前で、声で、言葉で、言えるわけじゃないですか。ある種責任を持って。
松江:ただ、そういう空気を作ったのは、僕がある。現場の雰囲気というか。そういうことをしてもセーフだ、みたいな空気をつくったのは僕だよね。だからそこは僕に責任がある。
加賀:うん。
満若:場を作るって監督の責任でもありますしね。
松江:そうです、そうです。だからあの場で起きたことのすべては、僕に責任がある。
加賀:うん。それで僕が嫌ですやめてください、って言ったら、カンパニー松尾さんが羽交い締めにして撮ったわけですよね。
松江:はい。
加賀:で、勃起してんじゃねぇかよって笑いながら言ったのを覚えています。ってかまぁ、映像にも残ってます。
藤本:これってもう、脱ぎ始めたところから、フェラチオまでいっちゃっていいやってことを考えてたんですか。
松江:うーん・・・
藤本:僕も自分でセーフワード言ったはずだし・・・
加賀:いや、違う、それはおかしいんですよ。
藤本:いや、(松江さんが)思ってるってことですよ。言ったはずだしって自分のなかで思っていて、フリもできてるし、このままいっちゃえばいいやってふうに思ってたんですか?
松江:っていう、奢りがありましたね。当時は。
加賀:いやそれはそもそも、要するに、フリだけでいいからの要求の前に、要は、やれがあるので、それはやっちゃえという感覚があったってことですよね。そのときに。どこから考えてるかは松江さんの言葉を信じるにしても、その瞬間、そういうのがあったってことですよね。
川上:全然現場で加害的なことをやってるって意識はみんななかったんですね。
松江:あの時はなかったと思います、はい。
加賀:それは僕が土下座してても嫌だって言ってじたばたしてやっても加害意識はってこと?
松江:うん、あの時あの空気のなかでは僕はなかったと思う。それがすっごい当時の奢りだと思うね。なんかこう、面白いものが取れればいい、みたいな、あの時はあったから。
満若:松江さん的には、当日の朝に、加賀さんが現場に来た段階で、あ、AVの現場に出るってことを承諾したように思ったんじゃないですか?嫌がってたけど、いざ現場が始まってしまえば何とかなるやろと。
松江:何とかなるやろ・・・うん、そういう気持ちはあったかもしれないですね。
満若:現場に来るってことは、こちらの要求をのんでくれただろうと。事実は違うにしても。松江さん、監督としては。
松江:あったと思います。
満若:だからこれでいいやって感じで、どんどん突き進む。
松江:うん。
加賀:いや、でもその前提として、何もしないという約束事を明確にしたと思いますよ。取材に行くだけだと。そこは強くここ(二人)で話し合ったことだと思う。もっとさかのぼって言えば、一緒にドキュメンタリーを作ろうってなった時も、先ほどお話しあったように、お互いに相談して進めていくと、お互いに同意を取りながら進めていこう、っていう取り決めをしたのもあって、取り決めってほど堅苦しいものではなかったですけど。約束しましょうと、僕は覚えてます、電話で話したんです。電話を受けた場所も覚えてます。青山一丁目の交差点で電話を受けて、あそこでずっと電話で話したのを覚えています。そのとき僕は嫌だと、でも最初嫌だというような・・・
松江:それはどのときの電話?
加賀:一番最初の時の電話。
松江:ああー。
加賀:その時に、ちょっと考えさせてくださいというような話をして、でその時に、なんていうか、僕はノリノリではなかったと思いますね。なんで、松江さんからの言葉でそういうのが出てきた。同意を取りながら進めていこうというんだったら、要は配慮してくれるものだと。そういうふうに考えてくれるならやりましょうと。やっぱり、信用しなかったわけではないんですけど、人とそういう自分のある種日常のパーソナルな部分を人とある種身を削ってやるわけじゃないですか。それはまぁ、そこまでは僕は想像できたので、やっぱりそこには信頼関係が必要だと思うので、躊躇してた部分はあると思うんですけど、そのときに信用されるように、そういうふうな同意をして進めていこうと強く確認し合ったのを僕は覚えているんですよね。で、その言葉の裏切りが、撮影現場で起きたことだったんですよ、前もそうですけど、嫌だって言ったのに、何もしないって言ったのに、まぁすべての裏切りがこのシーンにあると思うんですけど、
松江:ふーん、そうかぁ。
加賀:もう一つは、そのあとですよね。編集、もっとか。その、告白のシーンも嫌だったわけですよ。そこはもうそれこそ、もっと渋ったと思うんですよ。
藤本:そこを確認したいんですけど、最初に、別の女性を撮った?
松江:はい。
藤本:そこに満足できなくて、「やはりご本人で撮りましょう」ってことになったんですよね。それは、加賀さんに確認を取る前に、ご本人の出演は決まってたってことですか?
松江:いやでも僕は、ご本人の連絡先を僕は知らないので・・・
加賀:いや、知ってました。
松江:どうして知ってるの、加賀君以外に誰に教えてもらったの。
加賀:えっと、忘年会かなにかをうちでやったんですよ。
松江:あー、はいはい。あれじゃあ、僕も映ってるシーンね。
加賀:そうですそうです。あの時点で聞いてたんじゃないかと思うんですけど。要は、連絡・・
松江:あの時に俺、聞いてたんだ。俺は加賀君から教えてもらったっていう。忘年会のときに俺加賀君の家に行ったじゃん、それは映像に映ってるし、彼女がいたことも分かってたけど、でもそこで彼女に連絡先聞いたかっていうと、ぼくは記憶にない。で、僕が連絡したのが、ぼくが連絡したのは間違いないですよ。ただ、連絡先は加賀君から教えてもらったっていう認識。電話番号を。
加賀:じゃあ仮に、連絡先を伝えたとしましょう。でも今の言い方だと、要するに、松江さんが電話する、内容を了解したうえで教えたわけではないですよね?まったく別のところでってことですよね?
松江:いやでも俺それ以外に彼女に連絡する理由が・・・
加賀:じゃあ分かりました。じゃあ、まず、僕は嫌だったんですよ。そもそもこの件で彼女に連絡されることも嫌だった。絶対的に嫌だったんです。なのに、そもそも松江さんがオファーすることを前提にして連絡先を教えるということは100%ないです。それは100%ないです。
松江:そうか、ないか。
加賀:もし仮に教えたとすれば、まだ信頼関係が築けていた時に教えたのかもしれないし、まだわからないですけど。忘年会にも呼んで、(松江さんが)いらっしゃってて、そういう関係の中で教えたのかもしれないですけど。ただ、松江さんが出演オファーをすることを承知の上でそのために連絡先を教えるということは100%いや120%・・・100%ないです。
松江:そうか・・
加賀:じゃなかったらですよ、そもそも別の人で撮ったというワンクッションあるじゃないですか。あれが存在している理由が分からないですよね。
松江:だから連絡したのは、別の人ので撮った後だと思う。その人ので撮ってOKだったら、多分OKしてる。でも僕はその時に、やっぱり本人でやろう、って言ったと思うんだけどね。
加賀:それは言ったと思います。
松江:言ったよね、うんうん。
加賀:でも僕は嫌だったんです。それは覚えています。はっきり。だからまず、別の人で撮るのも嫌だったんです。そもそも。嫌だって話はずっとしてたと思います。で、嫌だとでまたいつものように押し問答があったわけですよ。で、そのときも、なんていうんですかね・・・すごく分かりやすいアレですけど。じゃあ分かったと。本人でやるか、代わりの人を呼ぶか二択を出してきたんですよ。あたかも譲歩しているかのような。でも僕はどっちも嫌だったんですよ。でも選択肢を与えられて、マシなほうに乗っかったと。今思うとそれに乗っかったっていうのも馬鹿らしいですけど、でもその時の僕はよりマシなほうで、という選択をしてしまったんですよね。
松江:ああ、そっか。
加賀:それをした段階で、どんどんこう・・・まずそれが嫌だったんですけど、でも撮ったわけじゃないですか。でもやっぱり本人がいい、と。逆に、その・・・なんで本人が良かったんですか?これちょっと話ずれると思うんですけど。
松江:それねー、すごい傲慢なあれだけど、実際にこの映画がきっかけで、彼女と付き合えたらいいなって思ってたところがあった。うんだから正直、映画だけのことってわけて考えていたんだよね。あの時。単に映画の・・・
加賀:それは本当に傲慢だと思いますけど、そもそも僕と彼女の関係を僕以上に知らないわけじゃないですか。
松江:ただ加賀君と撮影している2か月弱の間に、加賀君の・・・なんていうかな、加賀君の気持ちを聞いたり、加賀君が二人で映画コレ見に行ったんですよ、とか加賀君の彼女に対する思いが、この撮影中に進行してるなって思ったの。俺は。撮る前と最中とで。
加賀:ふーん・・・その言い方だと、あたかもこの撮影がそれに寄与しているふうな捉え方だったということですか?
松江:うーん・・・でも、当時の僕はそういう気持ちがあった。それで、本当に彼女が出てきて、映画の中だけじゃないところに加賀君が行けたらいいなという気持ちがあった。当時。それで加賀君、「童貞。をプロデュース」を上映したときのことは覚えているよね?
加賀:覚えています。ラ・カメラ
松江:ラ・カメラね。で、ラ・カメラで彼女が見に来たじゃん。で、映画を見て、彼女は加賀君の気持ちに、
加賀:松江さんが呼んでですね。一応注釈をつけておきますけど。僕が呼んだわけではないです。松江さんが呼んだんですよね。ぼくは
松江:あ、ちょっと待ってね。今話してて思うのは、自分がほんとにこの間も書いたように、すごい傲慢に進めてたな、っていうのが思うんだけど、ラカメラの上映に来て、彼女が気付いて、加賀君の気持ちに。で、先に帰ったじゃん、彼女。でその時雪降ってたんだよね。で、加賀君がさ、彼女多分わかっちゃいましたどうしましょうって加賀君がさ、言ってきたときにさ、もう告白するしかないよって言って、加賀君、ラカメラの階段滑って行ったの覚えてるんだよ。彼女を追っかけに。それは俺の中ですごく、今考えると恐ろしいけど、映画作ってよかったなって記憶になっちゃってるの、俺の中で。加賀君が告白しに行って。で、そのあと付き合ってたよね?
加賀:付き合ってました。
松江:それ聞いたとき、俺嬉しかったんだよ。映画がきっかけで、加賀君が彼女と付き合えたって。
加賀:それは大きな間違いです。そう思ってたとしても、それは大きな間違いです。
松江:そうだよね。
加賀:付き合ったんですけど・・・
松江:いや、俺はつきあうきっかけになったんだな、って。そうなんだよそうなんだよ。でも加賀君はそうじゃないんだよね?
加賀:全然違いますね。自分の認識では、遠回りしたくらいに思ってます。
松江:そうだよね。それはごめん。でも当時の僕は、雪の中加賀君がラカメラの・・・
加賀:まずそこが・・・まずではないか、すでに傷ついてるんですけど。僕はラカメラの段階でも傷ついているし、すごく辛かった。それは、追わなくていい面だったと思います。今考えれば。それは初恋のほろ苦い思い出とかそういうのではなくて、単純に嫌だった、プライバシーを侵害されて。
松江:ごめん。
加賀:単純に傷ついた。それは当時からの感情です。今思ってもそうですけど。っていう話を散々したと思うんですよ、十二年前よりもっと前から。もっと前っていうのは、編集が終わった段階で僕話してます。嫌だと。そもそもAVの撮影のシーンも僕は嫌だと言ってましたし、告白も嫌だと。告白シーンも嫌だと。そういう話を散々して、、、
松江:そっかー・・・
加賀:僕は言葉を尽くしたと思うんですよ、それで伝わらなかった。どうすればよかったんですかね?
松江:どうしたらよかったのかな・・・
加賀:だってセーフワードが存在しないわけじゃないですか。
松江:ん?セーフワードって?
加賀:要するに、本当に嫌だ、本当に嫌だって話を散々したわけですよ。編集の段階で、編集が終わった段階で。それ、松江さんもブログに書いてますけど、加賀に民事で訴えると言われた、と書いてましたよね。たぶんそれに近いことを言ってたと思うんですよ、お互いの話の中でそういう話が出てきて。
松江:あのそれは、この「童貞。をプロデュース」って映画の中で威圧的な立場でいよう、っていうのは、あった。
加賀:うん。でもキャラだけじゃないってことですよね。
松江:映画を進めていく中で、自分が、何ていうのかな。それはね、加賀君に関しては一緒に作ってるっていう意識がやっぱりあったんだよ。その、加賀君も作り手だという気持ちが。
加賀:だとしたら、嫌だっていう意思はなんで尊重できなかったんですか?
松江:あの映画が広がるってことを加賀君と一緒に体験したかったから。
加賀:でも僕はそれを望んでないわけじゃないですか。
松江:でもね、僕は当時望んでないと思ってなかったんだよ。
加賀:じゃあ逆にですよ、松江さんが映画作ってて、監督としてやってて、こういう話ってありふれた話かもしれないですけど、プロデューサーの意思で自分がやりたくない表現に改変されたら、それは許されることではないですよね?
松江:あー・・・あの、自分の作品で具体的な名前を出したりとかはしないけど、自分の意思が必ずしも通らないものだとしても、自分の作品だっていうふうに・・・僕の考えね。っていうのは、ある。
加賀:うーん・・・ただそれを関係性がこじれるまで行ったとしても、納得できるんですか?
松江:あのときはそうだった。
加賀:そもそもそういう場合は納得できるんですか?
松江:僕は納得できる。自分が現場で監督としてその作品に関わったものだったら。
加賀:望まないものだったとしても。
松江:うん、僕は。
藤本:松江さんが納得しても加賀さんは・・・
松江:そう、そうなんですよ。そうだよね。それが、僕が加賀君に謝らないといけない、本当にごめん。僕は映画が広がってお客さんに会って、加賀君の考えが変わるんじゃないかって気持ちはあった。
加賀:じゃあ突っ込んだこと聞いていいですか?例えば自分のご家族が、僕がやられたようなことをもしされたらどうなんですか?肯定できる?
松江:あー・・・家族が・・・
加賀:例えば、大橋さんが漫画で描いてるように、二年前に。
松江:二年前?
加賀:まぁ、いいです。じゃあそれはおいておきましょう。
松江:あー!あれ?なんかその
加賀:もしリアルになったとして、僕がされたようなことをほかの人にされたとして、納得できるのか?肯定できるのか?今言った松江さんの考えで、肯定できるんですか?
松江:今の自分は肯定できない。
加賀:当時は?
松江:当時だったら、うん・・・そういうことを言ってた可能性はある。あの年はお客さんがたくさん入って、本当にあの頃はなんつうのかな、
加賀:じゃあ今ってどこからですか?松江さんの言う「今」って?今の自分だったら、の今です。
松江:二年前。二年前の、加賀君の怒りを直接感じてから。
加賀:じゃあなんでこれ出せたんですか?この、この声明文って、なんで出せたんですか?じゃあもし本当にそうならば。
松江:あの、この声明文を出したとき自分のなかにあったのは、作品を守りたかった、っていうのはあった。
加賀:かっこいい言い方ですね。
松江:いや、ううん、でも本当にそうだった。
加賀:その作品って誰のものなんですか?
松江:あの時は自分のものだった。
加賀:あの時っていつですか?
松江:あの時って、二年前。
加賀:で、今はそうじゃないですか?
松江:今はそうじゃない・・・それは一言では言えない。たとえ、この声明文出して、二年前はね。そういうふうにしないと僕は作品を守れないと思った。「童貞。をプロデュース」という映画が。それは、「童貞。をプロデュース」という映画は、加賀君が否定しても、僕にとってはさっきも言ったように、自分にとっては、加賀君がずっと憎しみとか利用しようとかだけじゃ映画は作れないよ、それは。僕は加賀君が好きだった。これは本当に。君は否定するかもしれないけど。
加賀:うーん・・・
松江:正直に言うと、僕はあまり変わってないんだよ、加賀君に対して。憎いとか敵とか何回か言うけど、それはないんだよ。それは信じてほしい。
加賀:うーん・・・
松江:わかんない、二年ぶりに会ってこういうふうに言われても分かんないと思うけど
加賀:じゃあなんで十二年前に着信拒否とかできたんですか?
松江:あの時はただ、映画をただ進めるっていることしか頭になかった。
加賀:逆にその行為が作品の正当性にミスをつける原因にはならないですか、逆に?
松江:思わなかった。
加賀:要はこいつを黙らせておけば、
松江:黙らせておけば、ってわけじゃなくて、なんで加賀君はこういうふうに広がっているものを拒否するんだろう、という気持ちがあった。
加賀:要は、想像力が欠如していた?
松江:うん、欠如していたね。加賀君も実際お客さんに会って、あの映画を見て、加賀君のことを素敵だって言う人もいたじゃない?あの映画を見てよかったです、とか面白かったです、とか。
加賀:それも含めて辛いんですけどね。要は。
松江:それはごめん、加賀君がそんなふうに辛いって言うのは、
加賀:周りが肯定的に捉えている一方で、やっぱり嘲笑はあったし、僕は不愉快だったし。
松江:それは悪かった。
加賀:加えていうならば、他の人の誰かを傷つけていると思ったし。そもそも「AV女優は汚い」って発言をそのまま放置してドキュメンタリーとして残しているわけじゃないですか。それはきっと誰かを傷つけてると思うんですよね。
松江:そっかー・・・
加賀:そういうことも、作品自体が持っている加害性っていうのも存在すると思うし、それよりも「作品を守る」なんですか?逆に言うと、それを守るんですか?
松江:そういう意見があることも、僕も当時もちろん聞いていたし、・・・たしか、満若さんもさっき電話したとき、聞きましたよね。当時見たときすごく嫌だったって。プラネットで見たときに。
満若:僕は、はい。プラネットで見たときに、正直パート2のほうが印象にあって、パート1のホテルの一室のシーンは今でも覚えていて、友達と一緒に見に行って、すごく嫌な気分になって、帰りに吉野家の牛丼食べて帰ったって記憶があるんですよね。だから、そのあとは松江さんの作品は追わなくなってしまった、っていうのは僕個人の経験としてあります。
松江:僕が当時気にしてたのは、そういう声も聞いてて、あ、そういう気持ちになる人もいるんだ、ってそれは聞きつつ、やっぱり面白かったっていう圧倒的な声の方にばかりに向いてたっていうのはあるね。
加賀:逆に言えば、それがどれだけ罪深いことかっていう認識はなかったってことですか?想像力がなかった?
松江:お客さんの反応が・・・だから罪深いというよりは、お客さんの反応とかそういう見る人っていうのが糧というか。それが証拠だって考えたところはあった。当時。10年間上映してたっていうのも、そこ。見る人がいる、見たい人がいる。それに答えるっていうところしか考えてなかった。だから僕は2年前加賀くんがああいうことを舞台上でやったことは正直、今思うと恥ずかしいけど、結構びっくりしたっていうのが正直なところ。そこまで加賀くんのことを無視してたのか・・・
加賀:でもそれってフェイク撒き散らしてる連中と同じ発想じゃないですか。自分の意見に賛同してる人が気持ちよくなって、いい言葉を共有できる。自分たちが気持ちよくなれば他の人を傷つけても構わないっていう。そこの想像力の欠如って罪深いと思うんです。ある種悪意がなかったとしてですよ、仮に。これば凡人の犯罪だったとしても、すごく罪深いことですよ。
松江:今のヘイトっていうところで、僕もそうだと、今は頷けないところはあるけれど、加賀くんの気持ちを無視したっていうのは、それは僕が本当に悪いと思う。ただ・・
加賀:キレイにしすぎだと思う。
松江:いや、キレイに
加賀:キレイにしてますよ。
松江:してるか・・・
加賀:してますよ。それは多分ヘイトやってる人たちもそうです。自分たちはいいことしてると思ってるんですよ。そんなの・・・許せるわけないじゃないですか。
藤本:ヘイトっていうか、いじめと同じ考えだっていうのは理解できますね。
加賀:そうですね。いじめって言ったらもっと分かりやすいかもしれないですけど。
松江:そっか・・・
藤本:こっちはいいつもりでやってやってるんだって?
松江:いや、そういう・・・
藤本:でも言い換えるとそういうことですよね。
松江:そっか。だから恐ろしいって言ってるの。だから申し訳ない。本当にごめん。