『f/22第3号』全国書店にて発売中!

さて第3号内容紹介の第3弾です!今回は第一線でご活躍の皆さまにインタビューや寄稿を依頼したコラム群と連載記事をご紹介します。

———————-① [インサイドクリティーク]:「はざまの場所にいる。それでも〈物語〉を語る。(『イサドラの子どもたち』によせて)」草野なつかさん

作り手の皆さんに作品批評をお願いする「インサイドクリティーク」。今回は『螺旋銀河』『王国(あるいはその家について)』など、演者と役柄の「あわい」、役柄を獲得する過程の声の変化に着目した劇映画作りで知られる映画作家、草野なつかさんに、2019年ロカルノ映画祭で最優秀監督賞を獲得したダミアン・マニヴェル監督『イサドラの子供たち』についての文章を書いていただきました!本番は映さず、そこに至る「過程」を撮るという意味で、ドキュメンタリー的なプロセスを重視する『イサドラ…』『王国』両作(編集・川上の解釈です。間違ってたらごめんなさい!)。草野さんがこの映画について何をどう語るのか、気になる映画人も多いはず!まさに「インサイドクリティーク」と呼ぶにふさわしい、実作者ならではの逡巡や思索が廻らされています。劇映画を作る上でも、役者との「共犯関係」をどのように結ぶのか、結べるのか。バシバシに鋭い必読の文章です!


———————-② [若手の言い分]映画監督 戸田ひかるさん

2018年から全国で劇場公開されたドキュメンタリー映画『愛と法』。TIFFスプラッシュ部門作品賞、香港国際映画祭でも最優秀ドキュメンタリー賞を受賞し、日本のドキュメンタリー映画界に突如として現れた戸田ひかるさん。オランダで心理学、社会学、人類学、ロンドンで映像人類学を学び、BBC, NHK, ABC, The Guardianなどで放送された番組ディレクターとして経験を積んできた後、現在は大阪在住の戸田ひかるとは一体何者なのか?「日本育ち」ではない彼女の視点や考え方には、世界標準のドキュメンタリー作品を作っていく上でのヒントが満載です。『愛と法』「劇場公開時」に直面した倫理的問題とは?「映像を撮って、公開すること」が原理的に孕む「作り手の権力性や加害性」にどれだけ自覚的であれるか、その覚悟に触れる戸田さん。(インタビューは、戸田監督の新作で、現在NETFLIXで世界公開中の『マイ・ラブ 6つの愛の物語 日本篇 絹子と春平』に録音で参加した川上が担当。それもあってか、気負わないざっくばらんな雰囲気のインタビューになってます!)。奇しくも草野なつかさんの寄稿にも通ずる倫理的視点があって、面白いです!


———————-③ [日本から遠く離れてーコーディネーターの仕事]「私がコーディネーターになるまで」ソケ・ケムバンディットさん

プノンペン出身、カンボジアにて撮影コーディネーターとして番組制作に携わるソケ・ケムバンディットさんに、日本への留学を終えて母国に帰り、映像制作のコーディネーターとなった経緯から、コーディネーター業務にまつわるあれこれについて寄稿して頂きました。「国際文化学」を専門とする独自の視点から綴られた深い考察には唸ることばかり。夕食で頼んだものが出てこないと怒鳴る日本のディレクター(マジかよ…今もいるの…?)さんのエピソードには絶句。海外ロケの際に、コーディネーターさんという立場は、制作部的にロケを円滑に進めるためにはもちろんのこと、実は現地の被写体の方達とスムーズかつ的確にコミュニケーションを取れるかという点においても、超重要なポジションなんですよね。そんな、あまり制作者以外からは知られることの少ない、ドキュメンタリー制作の正に縁の下の力持ちなコーディネーターさんについて知る意味でも、貴重な寄稿になってます!


———————-④ 「シネ・ヌーヴォの出発点ー「シネマテーク・ジャポネーズ」について」景山理さん

大阪は九条のミニシアター「シネ・ヌーヴォ」。ドキュメンタリー映画好きの皆さんも耳にしたことはあるのでは?独自の質の高い上映プログラムや企画をこれでもかと連発し続けている劇場さん。名物支配人・山崎紀子さんのファンも全国に多いはず。そんなヌーヴォ代表の景山さんに、70年代、とにかく日本では観れない世界の映画を観たい!というアツい思いから発生して繋がっていった全国の若者の「自主上映グループ」が、現在の日本独自のミニシアター文化を形作っていった変遷を寄稿して頂いています。小川プロ『ニッポン国 古屋敷村』上映呼びかけの際の景山さんの手書き文章も全文掲載!貴重!かつ、アツい!かつ、マジで面白い!こんなアツい想いが引き継がれて独自の豊かな文化を形成してきた日本のミニシアター。コロナ禍に負けず、その想いよ永遠に…と読んでいてこっちまでアツくなること必至の文章です!


———————-⑤ [作り手による機材レビュー]「LED照明が撮影現場にもたらしたイノベーション」大久保礼司さん

よくある技術雑誌の、スペックメイン的な機材紹介とは一味違った、作り手個人の想いをより知りたい!という趣旨の[作り手による機材レビュー]。今回は若松プロの多数の作品から、近年では日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を長澤まさみさんが受賞した大森立嗣監督『Mother』や、『岬の兄弟』『本気のしるし』など、話題作に多数参加されている照明技師の大久保礼司さんにお話を伺いました。LED照明がいつごろからどう現場に入ってきたのか。その最初期から積極的にLED照明を現場に導入し、試行錯誤を繰り返してきた大久保さんの話は面白い!誰にでも取り扱いが容易なLED照明が主流になってきたことによる「照明」への意識の変化とは?正に「光と影を司る」プロフェッショナルな照明技師としての矜恃をビンビンに感じる内容になってます!


———————-⑥ [子どもと仕事とパートナー]「コロナ禍、どうしてた?パパママ制作者のよもやま備忘録」

こちらは、昨年の夏、編集部メンバーが編集会議で久々にスケジュールを合わせて集まった際に、必然的に話題となった「コロナ、どうっすか?」という本音満載トークを記事にして残しておこうというもの。本誌編集部のパパママたちが、ただでさえ大変な「子育て」に+αでのしかかってきた家庭内コロナ対応について、正に赤裸々に語っています!


———————-⑦ 連載 [20年目のNHK番組改変事件 作り手はどのように敗北したのか]

女性国際戦犯法廷(つまりは天皇の戦争責任)を扱ったNHKのドキュメンタリー番組が、政治の圧力を受け、また NHK内部の力学の結果、どのように改変されていったのか。業界ではよく知られている「NHK改変事件」を、編集長満若が改めて掘っている渾身の連載。この問題、これまでNHK内部にいた方達からの証言は多く公になり、色々と本でも出版されているものの、現場で手を動かしていた実作者(つまり、制作会社ドキュメンタリー・ジャパン側)からの声はあまり聞かれてきませんでした。20年目の今、「作り手」目線で新たな独自取材を進めている連載#1になります。


———————-⑧ 連載 [Seeds of Discussion]

編集部の川上がテーマ自由で書いている連載3回目。今回は、コロナの影響をもれなく受け、ロケ仕事がめっきり減った一方で、「整音」の仕事ばかりやっていた2020年ということもあり、そもそも、ドキュメンタリー映画の「整音」って何をやってるの?ということを、いつもの愚痴混じりでゆるく書いています。「音のことは良く分からないんですが…」というドキュメンタリー制作者の皆さんに、基礎教養として是非読んで頂きたい!

———————-以上、第3号の内容紹介第3弾として、コラム+連載記事をざっと紹介しました!これでようやく、大ボリューム全301ページの紹介はひとまず終了となります!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。